●マネックス証券は、5月28日から6月4日にかけて仮想通貨に関するグローバル/国内個人投資家サーベイを実施、532名から回答を得た。

●仮想通貨の認知度や投資経験者は昨年から大幅に増加した。日本で仮想通貨を知っている人の割合は98.2%と、香港や米国に比べて圧倒的に高い水準となった。

●今後、仮想通貨市場は「存在感を増す」と考えている人が46.4%と高かった。今後の利用の場の拡大やブロックチェーン技術への期待が主因だが、やや漠然とした期待感もあるようだ。市場への期待が続くためには、セキュリティの高度化が急務である。

仮想通貨に関する個人投資家アンケート実施

5月28日~6月4日にかけて、仮想通貨に対する投資経験や意欲についてアンケート調査を行った。一部は、グローバル投資家サーベイの一部として行われているもので、2017年6月以降、今回が3回目となる。

これによれば、仮想通貨に「投資している」とした個人投資家は、香港では減少している一方、日米で大幅に増加し、日本では10.2%、米国では16.7%となった。これらに「興味があるが、まだ投資していない」という回答を加えると、日本と米国では4割近い個人が「投資をしているか興味がある」と答えている(図表1)。

また、仮想通貨を「知らなかった」と答えた投資家の数は、三地域で日本が最も少なく1.8%となった。逆に言えば98.2%の投資家が仮想通貨を知っていることになり、88.3%の米国、68.8%の香港を大きく上回った。昨年6月時点でも2.4%と、仮想通貨を知らない人の割合は他の地域に比べて圧倒的に少なかったが、今年に入り認知が更に進んだ。

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前回のアンケート実施期間は、17年11月27日から12月1日までと、12月の仮想通貨価格暴騰の前に行われた。このため、投資家層は、ブーム期からは低下している可能性はあるものの、少なくとも昨年に比べると増加している。

更に今回から、日本の個人投資家に対し、仮想通貨に対する今後の投資方針や市場の見通しについて尋ねた。

このうち、「仮想通貨は、今後、存在感を増すと思いますか」という問いに対しては、「そう思う」という答えが46.4%と、半数近い回答となり、「そう思わない」という回答を大きく上回った(図表2)。

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仮想通貨が存在感を増すと思う理由については、利用できる場所の増加とブロックチェーン技術を評価する人が多かった(図表3)。

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半面、「存在感を増すとは思わない」と答えた人々にその理由を尋ねたところ、価格変動の激しさやハッキングのリスクを挙げた人が多かった(図表4)。

なお、理由に「なんとなく」と回答した数は、「存在感を増す」と答えた人の方が、「そう思わない」と答えた人をはるかに上回った(存在感を増すと考える理由として「なんとなく」と回答した人=45名。そう思わないと考える理由として「なんとなく」と回答した人=11名)。

存在感を増すと思う人の中には、市場や報道の雰囲気などから総合的に「そう思う」と回答した人が多く、否定派は比較的はっきりとした理由で回答している印象である。

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また、すでに投資している人の中で「今後投資を増やしたい」とした投資家は37.0%と、「投資額をこれ以上増やしたくない」という投資家(44.4%)を下回った(図表5)。多くの人が仮想通貨の存在感は拡大すると考える一方、既に投資している個人投資家は更なる投資には慎重になっている。年明け以降のハッキング事件などから、価格変動が大きくなっていることなどが関係していると思われる。

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まとめ:仮想通貨への期待持続のためには、セキュリティの拡充がカギ

仮想通貨の投資家はこの1年で大きく増加した。今後も、利用できる場所が拡大するだろうという予想やブロックチェーン技術への評価から、仮想通貨は存在感が高まるという期待感が高い。ただ、こうした期待の根拠には、まだあいまいな面が残っている。

足元ではハッキング事件の報道などから、将来への期待は持ちつつも、更なる投資には慎重になっている投資家が多い模様だ。仮想通貨市場への期待がより堅固なものになっていくには、セキュリティの高度化が急務である。

【最近の仮想通貨市場の動きについては、マネックス仮想通貨研究所ウェブサイトをご参照】