先週の中国株ですが、上海総合指数と深セン総合指数、香港ハンセン指数は反落、創業板指数は続落となりました。上海総合指数ですが、週初の4月16日(月)は続落。4月13日(金)の引け後に発表された中国の経済指標が総じて予想を下回ったことが嫌気されました。マネーサプライ(M2)の伸び率が8.2%増と予想の8.9%増を下回ったこと、経済全体のファイナンス規模が1兆3,300億元と、予想の1兆8,000億元を大きく下回ったことなどが材料です。これは中国経済が緩やかな減速基調であることを示唆しています。
4月17日(火)も続落です。米商務省が米国企業に中興通訊(00763)への製品販売を禁じた措置から米中貿易摩擦懸念が拡大し、特にハイテク株が大きく売られ相場を引き下げました。また、この日発表された中国の3月の鉱工業生産が6.0%増と市場平均予想の6.3%を下回ったことも市場心理に影を落としました。4月18日(水)は中国人民銀行(中央銀行)が市中銀行に課す預金準備率(RRR)を1ポイント引き下げると発表したことから、銀行株を中心に反発となり、4月19日(木)もアルミ価格の急騰から非鉄金属株が上昇して続伸に。しかし、4月20日(金)は米中経済安全審査委員会が国家主導の経済スパイ活動を行っているとして、華為技術(非上場)と中興通訊(00763)、聯想集団(00992)を名指しして批判したことが悪材料視されて反落。結局、上海総合指数は-2.8%の3,071.542ポイントで引けています。
香港ハンセン指数も大まかな流れは上海総合指数と同じような流れとなりました。週初の4月16日(月)は中国の経済指標から中国経済減速懸念が株価の重しとなり続落。4月17日(火)は前述の米中貿易摩擦懸念から舜宇光学科技(02382)や瑞声科技(02018)といったハイテク関連が大きく売られて続落。4月18日(水)は中国人民銀行が預金準備率を引き下げたことから反発となり、4月19日(木)も中国が中国本土外の株式・債券投資枠拡大を発表したことから続伸。しかし、4月20日(金)は半導体受託生産世界最大手の台湾積体電路製造が示した第2四半期の見通しが市場予想を下回ったことや、前述の米中経済安全審査委員会による批判から反落となり、結局、香港ハンセン指数は前週末比-1.3%の30,418.33ポイントで引けています。
香港ハンセン指数の株価推移を見ると、100日移動平均線がサポートラインとなる一方で、50日移動平均線が株価の頭を抑えている状況です。依然として米中の貿易摩擦懸念が株価に悪影響を及ぼしており、米国の中間選挙が11月であることを考えれば、もう少し調整は長引くかもしれません。しかし、中国企業の業績は好調であり、いずれ好調な企業業績を背景とした上昇トレンドに移行できるものと見ています。
コラム執筆:戸松信博
(グローバルリンクアドバイザーズ 代表取締役社長)