先週の中国株ですが、上海総合指数と深セン総合指数、創業板指数は反発、香港ハンセン指数は続伸となりました。上海総合指数ですが週前半は堅調な推移となりました。理由は2つあります。1つは14日(日)に閉幕した「一帯一路」国際協力フォーラムで、習近平国家主席がインフラ投資計画の一環として、シルクロード基金に新たに1,000億ドル超を拠出すると表明したこと。もう1つは、これも14日(日)に国営新華社通信が「リスク予防策自体が新たなリスクになることのないようにすべき」とする、ここのところ金融当局が強めている規制を牽制する社説が掲載されたことです。また、李克強首相が14日に金融の安定と緩やかなレバレッジ解消、経済成長のバランスを取っていくことの重要性を強調したことも好材料になりました。
しかし、週前半で大きく上昇しただけに、17日(水)は利食い売りが出て反落。18日(木)はロシアゲート問題から米国株が大きく下がり、世界的にリスクオフ姿勢が強まったことから続落となり、週初2日の上昇分を、ほぼ解消してしまいました。19日(金)はマイナス圏とプラス圏を行ったり来たりの方向感のない展開でしたが、原油価格上昇から石油関連が上昇して相場を牽引してかろうじてプラスに。結局、上海総合指数は前週末比で+0.2%の3,090.631ポイントで引けています。
一方、香港株も週初に強く、後半に失速する形でした。15日(月)は世界的な株高の流れに加え、中国本土株が復調してきたことから6日続伸でスタート。終値ベースでの年初来高値を更新しました。しかし、16日(火)には早くも利食い売りが出て反落。17日(水)と18日(木)も中国本土株が軟調だったことや米国株が急落したことで続落となりました。ただ、19日(金)は世界的な株価の反転を受けて、小反発となっています。個別では空売り専門のリサーチハウス、ゴッサム・シティー・リサーチから粉飾の疑いがあるとのレポートが出ている瑞声科技(02018)が大幅安となり、18日(木)には取引停止となっています。一方、好業績を反映してテンセント(00700)が大幅高となり過去最高値を更新し、指数を支える一助となっています。結局、香港ハンセン指数は前週末比で0.1%高の25,174.87ポイントとなっています。
先々週に下落に歯止めがかかり、先週は小反発となった上海総合指数ですが、その戻りは限定的でした。引き続き金融当局のレバレッジ解消に伴う規制強化がどこまで強いものとなるかに焦点が集まると思います。一方、堅調な上昇の続く香港株ですが、こちらはロシアゲート問題で揺れる米国株がどのような動きになるかによるでしょうか。なお、先週発表された中国の経済指標ですが、4月の小売売上高は+10.7%<市場平均予想+10.8%、3月実績+10.9%>、鉱工業生産は+6.5%<市場平均予想+7.0%、3月実績+7.6%>とそれぞれ市場平均予想を若干下回ったものの、特に材料視はされませんでした。
コラム執筆:戸松信博
(グローバルリンクアドバイザーズ 代表取締役社長)