先週の中国株ですが、上海総合指数と深セン総合指数、創業板指数は続落、香港ハンセン指数は反発となりました。上海総合指数は週初の5月8日(月)から大幅下落でスタート。中国保険監督管理委員会が7日(日)に、保険会社の株式保有に関して統一の規則を検討すると発表したことから、金融機関の監視強化と金融レバレッジ抑制が懸念されました。また、この日発表となった4月の輸出が+8.0%と、市場平均予想の+11.3%を下回ったことも悪材料でした。9日(火)は原子力発電事業者や石炭鉱山会社との政府主導による合併期待が手掛かりとなって電力株が大幅高となるなどして小反発となりましたが、10日(水)には早くも電力株に利食い売りが出た他、原油価格の下落があってエネルギー株が売られて大幅反落。

そして、11日(木)も終了30分前までは大きく下げ、3,000ポイントの大台を割りそうなところまできていたのですが、終了前の30分で大幅な下げを解消して反発となりました。かなり短時間での急反発なだけに、中国政府系金融機関が買い出動し、相場を支えたのではないかとの観測が拡がりました。ともあれ、この反発が安心感につながったことに加え、中国人民銀行(中央銀行)が中期貸出制度を通じて資金供給をしたことや上海銀行間取引金利が下げて金融引き締めへの懸念が後退したことから12日(金)も大幅続伸となり、結局、上海総合指数は前週末比0.6%安の3,083.513ポイントで週を終えています。

軟調な中国本土株に対し、香港株は堅調な株価推移が続きました。5月8日(月)はフランス大統領選で親EUのマクロン氏が勝利したことからリスク要因が後退したこと、また、欧米の株式市場の株高に影響を受けて、反発からのスタートとなりました。さらに9日(火)は世界的な株高の流れを受けてテンセント(00700)や友邦保険(01299)などの大型株が大幅上昇となり相場を牽引。その後も堅調な推移が続いて連続して年初来高値を更新しています。結局、香港ハンセン指数は前週末比2.8%高の25,156.34ポイントで引けています。

下落に歯止めのかかった上海総合指数ですが、今週はどこまで戻すのかに注目できると思います。一方、堅調な上昇の続く香港株ですが、過熱感も出てきていることから、一旦反落する可能性はあるものの、大きな調整にはならないと見ています。中国の経済指標ですが、5月15日(月)に4月の小売売上高<市場平均予想+10.8%、3月実績+10.9%>、鉱工業生産<市場平均予想+7.0%、3月実績+7.6%>がそれぞれ発表されます。

コラム執筆:戸松信博
(グローバルリンクアドバイザーズ 代表取締役社長)