先週の中国株ですが、上海総合指数と深セン総合指数は続落、創業板指数と香港ハンセン指数は反発となりました。上海総合指数は週初の4月24日(月)から軟調なスタート。中国当局が金融機関の管理監督を強化し、新たな債務削減措置を導入すると発表したことが市場心理を悪化させました。特に銀行が外部の資産運用会社に資金運用を委託する「委託投資」から、大量の資金が引き上げられるのではないかとの懸念が膨らみました。
しかし、25日(火)には国内メディアが前述の資金の引き上げ規模は大規模にならないとの報道をしたことから懸念が後退して反発。26日(水)も養老基金の一部が運用を開始したことが好感されました。個別では「雄安新区」や「粤港澳大湾区」などのテーマ株が買われました。27日(木)は金融機関取り締まり強化の一環で、安邦保険集団のCEOが捜査対象になっているとの思惑から関連銘柄が急落してマイナススタートとなったものの、その後、習近平国家主席が規制強化についてシステミックリスクのきっかけとなるような強烈なものにはならないと発言したことで後場に戻して小幅続伸。28日(金)もその流れを受け継いで4日続伸となりました。結局、上海総合指数は前週末比で0.6%下落の3,154.658ポイントとなっています。
一方、香港ハンセン指数は週初24日(月)から上昇でスタート。仏大統領選挙で親EUの中道派独立候補マクロン氏が決選投票に進んだことから、リスク要因が消えて市場心理が改善。前場はマイナスに沈む場面もありましたが、後場に欧州市場が急上昇で始まると、終盤に株価は上昇。25日(火)~27日(木)も北朝鮮の朝鮮人民軍創設記念日に問題が無かったことや欧米の株式市場が高騰したことでリスクオンの流れが強まって大幅高となり、年初来高値を更新。28日(金)は中国人民銀行が金融機関への管理監督を強化するとの報道を受けて、融資に検査が入るのではないかとの思惑から銀行株、不動産株が売られて小反落となりました。結局、香港ハンセン指数は前週末比2.4%上昇の24,615.13ポイントで引けています。
中国の経済指標ですが、4月30日(日)に4月の中国公式製造業景況感指数が51.2<市場平均予想51.7、3月実績51.8>、中国公式非製造業景況感指数が54.0<3月実績55.1>と発表されています。また、5月2日(火)には4月のCaixin中国製造業景況感指数<市場平均予想51.3、3月実績51.2>が発表される予定です。今週、日本はゴールデンウィークとなりますが、世界的にリスクオンの流れが継続しており、香港株は再び年初来高値の更新が期待出来るところと思います。
コラム執筆:戸松信博
(グローバルリンクアドバイザーズ 代表取締役社長)