先週の中国株ですが、上海総合指数と深セン総合指数、創業板指数と香港ハンセン指数は揃って続落となりました。上海総合指数は週初から軟調なスタート。中国証券監督管理委員会の劉士余主席が、市場の秩序を乱す行為を「容赦なく」罰するべきだとコメントしたことや、重大な規律違反の疑いで取り調べを受けていた中国保険監督管理委員会の主席が解任されたこと、中堅銀行の幹部が規律違反で取り調べを受けていることなどから、金融当局の取り締まり強化が懸念され、市場心理を悪化させました。

その他、フランスの大統領選挙を4月23日(日)に控えていることへの不透明感や原油価格が下落し、石油株が売られていること、米国と北朝鮮の緊張が続いていることなども株価下落要因に。セクター別には銀行株や保険株が売られた他、「雄安新区」や「粤港澳大湾区」などのテーマ株にも利食い売りが入りました。ただ、週後半は、国務院が3,800億元規模の小規模減税を決定したことや、株価の下落によって、安値を拾う動きが拡がり、チャート上では200日移動平均線の手前で下げ止まり感が出ているところでもあります。結局、上海総合指数は前週末比で2.2%安の3,173.151ポイントで引けています。

一方、香港市場は17日(月)がイースターマンデーの祝日のため休場でしたので、4営業日の取引となりました。こちらもフランスの大統領選挙が迫っていることや、北朝鮮問題の緊張が続いていること、原油価格が下落して石油株が軟調となっていること、また、中国本土株や欧米の株式市場の軟調な地合を引き継ぎ、週初から軟調な動きとなりました。ただし、中国本土株よりは軟調な動きとならず、下値ではしっかりと買い戻しが入っており、下げ幅は小幅です。そして、20日(木)は地政学リスクの後退から主力株のテンセント(00700)や銀行株、保険株などが大幅高となりました。21日(金)も米ムニューシン財務長官が税制改革案「間もなく」公表とのコメントを発したことから前日の米国株が上昇し、そのムードを引き継いで上昇からのスタートとなりましたが、フランスの大統領選挙を23日(日)に控えていることもあり、終盤に手仕舞い売りが入り、最後にプラス圏からマイナス圏に転落。個別では米国のナスダックが好調なことから瑞声科技(02018)などのハイテク株が全般的に強い動きとなっています。結局、香港ハンセン指数は週間で0.9%安の24,042.02ポイントで引けています。

23日(日)に行われたフランスの大統領選挙は大方の予想通り、親EUの中道派独立候補のマクロン氏とEUからの離脱を求める極右政党・国民戦線(FN)党首のルペン氏が決戦投票に進むことになりました。これは株式市場にとって不安材料が1つ消えたことになるので、特に香港株にとっては株価が上昇する材料となりそうです。中国本土株にとってもプラス材料ではあるのですが、金融当局の取り締まりへの懸念が株価の上値を抑えそうです。

コラム執筆:戸松信博
(グローバルリンクアドバイザーズ 代表取締役社長)