先週の中国株ですが、上海総合指数と深セン総合指数、創業板指数と香港ハンセン指数は揃って反落となりました。上海総合指数ですが、週初の3月27日(月)は中国工業部門の企業利益が2017年1-2月に31.5%増加し、約7年ぶりの高い伸びを示したことから強い基調で始まったのですが、終盤に値を消しました。原油価格の下落から石油・エネルギー株が軟調となったほか、株価堅調だったインフラ株に手仕舞い売りが出ました。
さらにその後、28日(火)~30日(木)も悪材料が重なり4日続落となります。人民銀行総裁が世界的な金融緩和は終わりに近づいているとの見解を示したことから銀行株や保険株が軟調に。さらに杭州と福州、アモイの地方政府が不動産市場を落ち着かせる追加措置を打ち出したことで不動産株が下落しました。また、30日(木)まで、中国人民銀行(中央銀行)が公開市場操作を5日連続で見送り、銀行システムから資金を吸収。四半期末(3月末)を迎え、流動性の逼迫が懸念されて株価は全体的に調整しました。しかし、31日(金)は反発。3月の中国公式製造業購買担当者指数(PMI)がほぼ5年ぶり高水準となり、中国公式サービス業購買担当者指数(PMI)も2013年以来の高水準に達したことが手掛かりです。もっとも、引き続きIPOへの管理強化は懸念材料となっており、上昇はしたものの、やや上値の重い展開でした。
一方、香港ハンセン指数ですが、週初の27日(月)はトランプ大統領の政策実行能力を懸念した世界的な株安の影響を受けて軟調な展開に。その後、28日(火)~29日(水)はトランプ政権の政策運営に関する実行力への不透明感の問題がとりあえず一巡したことと、原油価格上昇に伴う石油株の上昇で反発となりましたが、30日(木)と31日(金)は下落。中国本土株の下落が影響した上、前述の好調な中国のPMIは材料視されず、清明節の連休を控え(中国本土では4月3日(月)~4月4日(火)、香港は4月4日(火)が休場)、取引が手控えられました。
今週の中国の経済指標ですが、4月6日(木)に3月のCaixin中国サービス業景況感指数が発表される予定です。清明節の連休もあり、様子見基調の株価推移となることが予想されます。
コラム執筆:戸松信博
(グローバルリンクアドバイザーズ 代表取締役社長)