先週の中国株ですが、上海総合指数と創業板指数は反落、深セン総合指数は続伸、香港ハンセン指数は続落となりました。上海総合指数ですが、週初の2月27日(月)から軟調に推移。前海人寿保険と恒大人寿保険(共に未上場)が投資に関する規則違反で罰則処分となったことから、両保険会社が保有する銘柄が売られた他、保険株が軒並み安となりました。また、原油価格の下落に伴い石油株も売られました。28日(火)は3月5日から全人代が開幕することを控えて、政策期待の買いが入り反発し、3月1日(水)も2月の中国公式製造業景況感指数が51.6と1月実績の51.3や市場平均予想の51.2を上回った他、Caixin中国製造業購買担当者景気指数も51.7と1月実績の51.0や市場平均予想の50.8を上回ったことが好感されて小幅続伸。

しかし、3月2日(木)はプラス圏からスタートしたものの、トランプ大統領の議会演説を受けて米国の3月での利上げ確率が高まり、米ドルが大きく上昇したことで人民元下落懸念が出てきたことや、中国人民銀行が公開市場操作で市場からの資金吸収を続けていることが嫌気されて反落。さらに3月3日も人民元がドルに対して一段安となったことで、中国からの資金逃避懸念が再燃し、これまで政策期待などで上昇してきた銘柄に利食い売りが入る形になって続落となりました。結局、上海総合指数は前週末比で1.1%安の3218.312ポイントとなっています。

香港株は中国本土株よりも、より軟調な株価推移となっています。この背景には、前述の米国の利上げ懸念が香港経済や香港株には、より強く影響することがあります。香港ドルは米ドルにペッグしているため、米国の金利が上がれば、香港の金利も上がります。また、米国の金利上昇局面では新興国から米国への資金環流が起きやすいとの懸念が生じやすいこともあります。特に3月2日(木)~3日(金)は2月中旬以降、上昇を牽引してきた中国本土の銀行株が大きく調整。結果、香港ハンセン指数は前週末比で1.7%安の2万3552.72ポイントで引けています。

今週も全人代からの政策期待は継続する一方で、米国の利上げ懸念で重たい値動きになる可能性があります。ただ、前述の製造業景況感指数がそうであったように、中国経済自体は堅調に推移しており、8日(水)に発表される予定の中国の2月の輸出などの経済指標で強い数字が発表されてくれば、株価に好影響を与えてくると思われます。

コラム執筆:戸松信博
(グローバルリンクアドバイザーズ 代表取締役社長)