先週の中国株ですが、上海総合指数と深セン総合指数、創業板指数、香港ハンセン指数は揃って反発となりました。上海総合指数ですが、先週は昨年11月以来の大きな上昇率になりました。週の前半は中国の金融引き締め懸念が継続したことや、原油価格の下落から石油株が売られた他、中国の外貨準備高が3兆ドルを下回ったことが、心理的な重しとなりました。しかし、2月10日(金)に発表された中国の1月の輸出が+7.9%<12月実績-6.1%、市場平均予想+3.2%>、輸入が+16.7%<12月実績+3.1%、市場平均予想+10.0%>となったことや、トランプ米大統領が中国の習近平国家主席と電話会談をした際、「一つの中国」政策を尊重する見解を示したことなど、米中摩擦懸念が後退したことから、週後半は強い伸びとなりました。
なお、上記の輸出入伸び率はドルベースです。人民元ベースでは輸出が+15.9%<12月実績+0.6%、市場平均予想+5.2%>、輸入が+25.2%<12月実績+10.8%、市場平均予想+15.2%>と、ドルベースでみるよりも更に強い伸びになっています。これはドル高が進み、人民元がドルに対して切り下がっているためです。これらによって先週は中国経済に対して楽観的な見方が拡がり、3月に開催される全国人民代表大会に向けて株価が上昇していくのではないかとの期待感が高まりました。
一方、香港ハンセン指数も反発です。こちらも前半は調整基調でしたが、前述の通り、中国本土株が週後半から上昇したことに加え、欧米の株式市場が堅調だったこともプラスでした。今後の見通しですが、中国の金融引き締めやドル金利の先高感は依然として警戒されるところですが、先週も指摘したように、中国の経済指標は底堅い数字が出てきていますし、3月に開催される全国人民代表大会に向けて政策情報が増えてくるところです。さらに米中摩擦懸念が一旦後退したことで、緩やかな上昇が期待できるところと思います。なお、今週の中国の経済指標ですが、1月のマネーサプライ(M2)<12月実績+11.3%、市場平均予想+11.3%>、1月の人民元新規貸出額<12月実績1兆400億元、市場平均予想2兆4,400億元>、1月の消費者物価指数<12月実績+2.1%、市場平均予想+2.4%>、1月の卸売物価指数<12月実績+5.5%、市場平均予想+6.6%>がそれぞれ発表される予定です。
コラム執筆:戸松信博
(グローバルリンクアドバイザーズ 代表取締役社長)