先週の中国株ですが、上海総合指数と深セン総合指数、創業板指数、香港ハンセン指数は揃って反落となりました。上海総合指数ですが、週初11月28日(月)は深港通が12月5日(月)から開始となったことや人民元安が一服したこと、不動産規制策が取られているために不動産市場から株式市場に資金がシフトしてくる事への期待などから堅調なスタートとなりました。個別では中国の長期金利が上昇し、金利のスティープ化が評価されて銀行株が買われた他、首都圏鉄道網の建設計画が認可されたことからインフラ建設関連株が買われました。11月29日(火)も同じような形で続伸となったのですが、11月30日(水)は5日ぶりに反落。原油価格の下落を受けて商品関連株が軟調に推移した他、これまで株価の牽引役であったインフラ建設関連株に利食い売りが出ました。

そして12月1日(木)は、この日に発表された11月の中国公式製造業景況感指数が51.7と、10月実績の51.2や市場予想の51.0を上回ったことが好感されました(ただし、Caixin製造業購買担当者景気指数は50.9と、10月の51.2や市場予想の51.0を下回りました)。また、石油輸出国機構(OPEC)の減産合意を受けて原油価格が大きく反発したことから石油関連株が買われたことも相場を押し上げました。しかし、12月2日(金)は同日夜に米国雇用統計が発表される予定の他、週末にイタリアの国民投票やオーストリアの大統領決戦投票を控え、様子見基調となり、利食い売り圧力に押され反落となりました。結果として、週間の上海総合指数は前週末比で0.55%安の3,243.843ポイントと、小幅安になっています。

一方、香港ハンセン指数ですが、こちらも深港通が12月5日(月)に開始されることになったことや人民元安が一服したことを材料に、12月1日(木)までは比較的堅調な株価推移となっていました。12月1日(木)に発表された中国の製造業景況感指数もプラスに受け止められました。しかしながら、12月2日(金)は急反落に。前日の米国ナスダック市場の株価が下落したことからテンセント(00700)などのIT株が売られた他、マカオ当局が入国時の所持金が12万パタカを上回る場合に申告を義務づけすると発表したことからマカオ関連株が大幅安に。これに加え、前述の週末イベントに備えた利食い売り圧力が働きました。結果として香港ハンセン指数は前週末比0.7%安の22,564.82ポイントとなっています。

今週ですが、中国の経済指標では12月5日(月)に11月のCaixinサービス業購買担当者景気指数(10月実績52.4)、12月8日(木)に11月の輸出(市場平均予想-5.0%、10月実績-7.3%)、輸入(市場平均予想-1.8%、10月実績-1.4%)、12月9日(金)に11月の消費者物価指数(市場平均予想+2.2%、10月実績+2.1%)がそれぞれ発表される予定です。先週の上海総合指数は反落となりましたが、中国の財政出動や国有企業改革に対する期待感は根強く、経済指標が大きく崩れなければ中期的に堅調な株価推移を維持できるものと予想します。一方、12月5日(月)から深港通が開始される香港市場も、欧米の株式市場の動向の影響は受けると見られますが、中国本土株が堅調に推移となれば、大きく崩れることは無いと見ています。

コラム執筆:戸松信博
(グローバルリンクアドバイザーズ 代表取締役社長)