先週の中国株ですが、上海総合指数と深セン総合指数、創業板指数は続落、香港ハンセン指数は反落となっています。上海総合指数ですが、7月25日(月)と26日(火)は堅調な株価推移となりました。重要な経済指標の発表などはありませんでしたが、習近平国家主席が議長を務めた中央政治局常務委員会において、減税を通じた内需の底上げや人民元相場の安定維持が明言されたことから、中国経済に対して楽観的な見方が広がり株価の上昇につながりました。当局は企業の税金や手数料負担を軽減する政策を実施する見通しです。

しかし27日(水)に株価は急反落となります。これは中国銀行業監督管理委員会(銀監会)が理財商品に関する規制強化を検討しているとの報道があったことが原因です。銀行は理財商品を通じて株式市場に投資を行っていますが、当局は資金流入の行き過ぎによるバブル発生を避けようとしている様子です。そして、その後の28日(木)~29日(金)も方向感の無い、軟調気味な株価推移となっています。もっとも、上海総合指数は27日(水)の急落後に一時安値からは戻しており、下ヒゲをつけるチャートとなっています。つまり株価が底を割れて大きく下落していくような状況にはなっていないと思います。これは人民元安による輸出の回復や政府の景気刺激策が中国経済をサポートするのではないかという見方が背景にあると思います。

一方、香港株ですがこちらは7月27日(水)まで比較的堅調な株価推移が続きました。日本や米国の中央銀行が開く金融政策決定会合を前に、様子見基調ではあったものの、欧米の株式市場が堅調な推移となった上、米国の利上げ見通しが後ろ倒しになっていることが株価の上昇を支えました。しかし、28日(木)に原油価格の下落に伴い、石油株主導で反落となり、29日(金)は大幅続落となりました。中国の理財商品に関する規制強化が遅れて効いてきた様子です。

今週の香港株ですが、反発が期待できると思います。米国の第2四半期のGDPが予想を大きく下回り、米国の利上げ見通しがさらに後ろ倒しになるとの見方が拡がっているためです。なお、中国の経済指標では8月1日に7月のCaixin製造業購買担当者景気指数<市場平均予想48.8、6月実績48.6>、中国公式製造業景況感指数<市場平均予想50.0、6月実績50.0>がそれぞれ発表になります。

コラム執筆:戸松信博
(グローバルリンクアドバイザーズ 代表取締役社長)