先週の中国株ですが、上海総合指数と深セン総合指数は続落、創業板指数と香港ハンセン指数は反発となりました。上海総合指数ですが、20日(月)~23日(木)までは行ったり来たりの往来相場が続きました。まず、20日(月)は当局が裏口上場に関する規制策を発表したことで1%近くまで下落する場面もありましたが、その後は世界的な株高の流れもあり、小幅なプラスに回復して引けました。逆に21日(火)ですが保険株などが買われて一時1%を超える上昇となったものの、その後、反落し小幅なマイナスで引けています。22日(水)は預金準備率引き下げ観測が出て小反発となりましたが、23日(木)は再び様子見姿勢が強まり小幅安に。やはり中国でも英国のEU離脱の是非を問う国民投票の結果がわかるまではどちらにも動けない様子でした。
そして24日(金)ですが、小安く始まったあと、残留派優勢との報道で一旦プラスに浮上したのですが、その後、離脱派優勢との報道で再びマイナス圏に。後場は離脱派の勝利が確定して急落して開始されたのですが、すぐに急反発となり、マイナス圏ではあるものの長い下ヒゲを付ける形に。その後もプラスには浮上できなかったものの、日本や欧州に比較すると比較的堅調な推移のまま取引を終えました。ちなみに深セン総合指数と創業板指数は急落後に一旦プラス圏に浮上しました。こちらは、23日(水)に深港通(深センと香港の相互株式取引)の決済システムのテストが開始されるとの報道があったことから強い基調であったことも影響していると思います。
中国本土株が日本や欧州の株式と比較して小幅な下落で済んでいるのは、外国人取引がもともと制限されているので、それほど大きな影響は無いとみられたのかもしれません。また、ドル高に伴って人民元安が一気に進み、ドル人民元の為替レートは1月の年初来安値を大きく更新したことも株価にプラスに働いたように思います。人民元安は輸出にプラスに働くため、目先の株価にはプラスに働きます。
一方、香港ハンセン指数は23日(木)までは、世界的な英国のEU離脱懸念の後退や深港通への期待感を背景に大きく上昇していきました。24日(金)は乱高下となりましたが、1日の株価の流れは上海総合指数と概ね同じであり、終盤に株価は戻り基調になって引けています。結果として香港ハンセン指数は週間では、前週末比で+0.4%となっています。中国本土株が急落後に急反発となったこと、今回の英国のEU離脱決定で米国の利上げが遠のいたとする見方、深港通への期待感が株価を支えたのではないかと思います。
このように中国株は英国のEU離脱決定で大幅に下落した日本株や欧州株に比較すると、比較的小幅な下落に留まりました。ただ、要注意なのは人民元の急落です。今週以降も急激な人民元安が続いた場合、中国からの資産流出懸念につながる恐れがあり、注意が必要だと思います。
コラム執筆:戸松信博
(グローバルリンクアドバイザーズ 代表取締役社長)