先週の中国株ですが、上海総合指数と創業板指数は反落、深セン総合指数と香港ハンセン指数は続伸となりました。先週は端午節のため、中国本土市場は6月9日(木)と10日(金)が、香港市場は9日(木)がそれぞれ休場となりました。中国本土株は連休前ということもあり、出来高も少なく、株価は小幅な値動きにとどまりました。週初の6日(月)は連休を前にした手仕舞い売りが先行。8日(水)に発表される中国の経済指標で中国経済のスローダウンが再確認されるのではないかとの懸念が拡がりました。
その後も方向感のない相場展開が続きました。8日(水)に発表された5月の輸出入(前年比)ですが、輸出が-4.1%(市場予想-4.0%、4月実績-1.8%)、輸入が-0.4%(市場予想-6.8%、4月実績-10.9%)となり、輸出はほぼ予想通りでしたが、輸入が予想よりも良い結果となったために、8日(水)株価は一時的にプラス圏に浮上しました。しかし、結局引け間際に売られ、8日(水)は前日比で小幅なマイナスとなり、上海総合指数は週間でも前週末比で小幅なマイナスとなっています。ちなみに先週発表された、その他の中国の経済指標ですが、9日(木)に5月の消費者物価指数+2.0%<市場平均予想+2.2%、4月実績+2.3%>と、生産者物価指数-2.8%<市場平均予想-3.2%、4月実績-3.4%>がそれぞれ発表されています。
一方、香港株は激動の一週間でした。香港ハンセン指数は端午節の祝日までは堅調な動きとなりました。特に6月7日(火)は大幅高となり、1ヶ月半振りの高値に。引き続き米国の利上げ見通しが後ろ倒しになっていることや中国本土株のMSCI新興国市場指数への組み入れ期待、「深港通」(深センと香港の相互株式取引制度)への期待などに支えられた上昇となりました。ところが6月10日(金)は一転して急落。特に本土系の金融株が大きく下げました。香港市場全体で見ると出来高はさほど大きくなっていないのですが、何か相場の変調を窺わせる大きな下げ幅でした。
今週も英国の国民投票を来週に控え、世界的な株価調整局面が続く中で、中国株も軟調な動きとなる可能性があると思います。なお、今週の中国の経済指標ですが、13日(月)に5月の鉱工業生産が+6.0%<市場平均予想+6.0%、4月実績+6.0%>と、小売売上高が+10.0%<市場平均予想+10.1%、4月実績+10.1%>が発表されており、ほぼ市場予想どおりの結果となっています。その他では、15日(水)までに5月の人民元の新規融資額<市場平均予想7,500億元、4月実績5,556億元>とマネーサプライ(M2)<市場平均予想+12.5%、4月実績+12.8%>がそれぞれ発表されます。
コラム執筆:戸松信博
(グローバルリンクアドバイザーズ 代表取締役社長)