先週の中国株ですが、上海総合指数と深セン総合指数、創業板指数は反落、香港ハンセン指数は続伸となりました。中国本土市場ですが、4月18日(月)は利食い売りが先行したことや、ドーハ産油国会合で増産凍結の合意に至らなかったことで原油価格が急落し、石油関連株が売られたことから下落してのスタート。証券当局が証券会社やファンドなどにガバナンスの強化を求めたことも相場の足をひっぱりました。

19日(火)は小反発となりましたが、20日(水)は2か月ぶりの大幅安となりました。特に大きな材料は出ていませんが、景気刺激策への期待感が後退していることに加え、著名投資家のジョージソロス氏が中国経済の状況が金融危機前(2007-2008年)の米国経済の状況に似ているとの認識を示したことが投資家心理を冷やしたことが背景にあるのかもしれません。ただ、終盤にかけて当局の買い支えとも見られる買いが入り、上海総合指数は急速に戻して長い下ヒゲをつける形となりました。ただ、21日(木)も中国人寿保険(02628)の第1四半期決算が大幅な減益見通しとなったことが発表され、保険株が売られたことから続落。22日(金)は終盤になって買い戻しが入り、小反発となりましたが、上海総合指数は前週末比で-3.9%の大幅下落となりました。

一方で、香港株も4月18日(月)は利食い売りが先行したことと、石油株が売られたことから下落スタートとなりました。しかし、19日(火)には原油価格や米国株が上昇したことから大型株を中心に反発。20日(水)は本土株の急落もあって反落となったものの、21日(木)は、再び原油価格や米国株が堅調だったことから急反発。22日(金)は利食い売りが先行して小反落となりましたが、週間の香港ハンセン指数は前週末比+0.7%で週を終えています。

先週も指摘したように、ここのところの中国の経済指標は好調です。たとえば中国の3月の経済全体のファイナンス規模は市場予想の1兆4,000億元を大きく上回る2兆3,400億元となっており、2016年第1四半期のファイナンス規模は四半期ベースでは過去最高となりました。これは中国人民銀行が与信を拡大し、経済成長を優先させていることを意味します。住宅価格も回復基調で、自動車販売も大きく伸びており、直近の数字を見る限り、今後数か月は引き続き中国の経済指標は良い結果発表が続きそうに見えます。しかし、中国本土株は、逆に更なる景気刺激策への期待感が後退して先週は調整となってしまった側面があります。一方で、香港株は米国株に追随する動きになりました。今週は大きな経済発表がないために、先週と同じような値動きが続く可能性があります。

コラム執筆:戸松信博
(グローバルリンクアドバイザーズ 代表取締役社長)