先週の中国株ですが、上海総合指数は反落、深セン総合指数は続落、創業板指数は反発、香港ハンセン指数は続伸と、まちまちな動きとなりました。中国本土市場ですが、3月7日(月)の上海総合指数は小幅続伸の5日続伸でスタート。引き続き両会(全国人民代表大会+中国人民政治協商会議)から景気刺激策や金融緩和策が出てくるのではないかとの期待感が株価を後押ししました。8日(火)は反落してスタートしたものの終盤に切り返して6日続伸。ただ、銀行株などの大型株が堅調であったことから、両会開催期間中であるため当局が買い支えを行ったとの観測もあります。
そして、9日(水)は反落、10日(木)も続落となりました。前日までの6日続伸で、利食い売りの動きが出てきたことに加え、大都市部の不動産価格上昇を懸念して当局が住宅ローンの頭金規制を行うのではないかとの観測が悪材料となりました。中国の不動産は大都市部とそれ以外の都市では異なる値動きとなっています。上海や北京などの大都市部では不動産価格高騰の動きが継続しており、当局は高騰を抑える政策を出しています。一方、それ以外の都市では不動産ローンを組みやすくするために必要な頭金の比率を減らすと言った、支援策を実施しています。また、2月の消費者物価指数が市場予想の1.8%増を超え、2.3%と大きく伸びたことから金融緩和への期待感が後退したことや、両会からの政策発表が落ち着いたことも相場の下げ足を速めました。11日(金)は小幅反発となりましたが、上海総合指数は前週末比では小幅マイナスで週を終えています。
一方、香港株ですが、10日(木)までは軟調な株価推移が続きました。中国の2月の輸出が市場予想を大きく下回ったことで中国経済に対する懸念が台頭したことが影響しています。中国本土は当局の買い支えと見られる動きで株価に影響は限定的だったと見られるものの、香港はその影響をストレートに受けたのではないかと思います。また、10日(木)にECB(欧州中央銀行)の理事会を控え、様子見基調で商いが低調だったことも影響しています。ただ、11日(金)はECBの追加緩和を評価する動きが広がり、大幅高となって週を終えました。
今週は世界的には株高基調が続く一方で、中国の材料としては両会が終了に近づき、政策発表が落ち着いてきたことで、中国本土株は戻り売りの圧力がかかりやすいのではないかとも考えられます。
コラム執筆:戸松信博
(グローバルリンクアドバイザーズ 代表取締役社長)