先週の中国株ですが、上海総合指数は反発、深セン総合指数、創業板指数は続落、香港ハンセン指数は続伸と、まちまちな動きとなりました。中国本土市場ですが、2月29日(月)は大幅反落からスタート。上海総合指数は1ヶ月振りに節目となる2,700ポイントを割り込みました。上海で行われたG20で具体的な政策が発表されなかったことが背景にあります。しかし、3月1日(火)はすぐに反発。これは中国当局が29日(月)夜に預金準備率の引き下げを発表したことが要因です。また、中国人民銀行が銀行、保険、証券分野を共に監督できるようにして権限を拡大する方針が発表されたことも総合的な金融政策発表への期待につながりました。さらに3月2日(水)は世界的な株高や原油高が続いていることから大幅続伸となり、上海総合指数は2,800ポイントを回復。工業・情報化部がセメントなどの業界で供給過剰対策案を策定しているとの報道も好材料となりました。

その後の3月3日(木)や3月4日(金)も小高い推移が続きました。世界的な株高や資源価格の回復に加え、両会(全国人民代表大会+中国人民政治協商会議)から景気刺激策や金融緩和策が出てくるのではないかとの期待感が株価を後押ししました。特に今回の全人代は第13次5カ年計画の初年度であり、今後5年間の長期計画を審議する特別な会議です。両会開催中の株価急落は、現政権に対する失望と取られやすいため、当局ができる限り開催期間中の株価下落を抑えようとする意向をもっているはずです。それが2月29日(月)に発表された預金準備率の引き下げにも表れていると思います。ただ、深セン総合指数と創業板指数は3月4日(金)に大幅下落となっており、年初来安値を更新しそうな位置にあることは注意が必要だと思います。

香港株も上海総合指数と同じような動きになりました。特に世界の株式市場や原油価格が強い動きとなっていることが株価の後押しとなっており、香港ハンセン指数は抵抗線となっていた50日移動平均線を上回る、力強い上昇となっています。今週もやはり両会が焦点となりそうです。構造改革に対する具体案や金融緩和策、景気刺激策などにかかるニュースが出てくれば上海総合指数は節目となる3,000ポイントを目指していけると思います。ただ、抵抗勢力に負け、思い切った構造改革の提案などが出てこない場合、両会終了後に株価は反落する可能性がある点は注意しておきたいところです。

コラム執筆:戸松信博
(グローバルリンクアドバイザーズ 代表取締役社長)