先週の中国株ですが、上海総合指数、深セン総合指数、創業板指数は反落、香港ハンセン指数は続伸となりました。中国本土市場ですが、22日(月)は反発からスタート。これは中国証券監督管理委員会(CSRC)トップの肖鋼委員長が辞任し、後任に中国農業銀行の劉士余董事長が就任することが報道され、後任の劉氏が新たな株価支援策を発表することが期待されたためです。この日は証券株が大きく上昇し相場を牽引しました。23日(火)と24日(水)も、利食い売りの圧力はあったものの、3月初旬に「両会」(全国政治協商会議と全国人民代表大会)が控えていることで金融緩和や景気刺激策を期待した買いが株価を支えて、概ね株価は横ばいで推移しました。

ところが25日(木)は節目の2,800ポイントを一気に割り込む急反落になりました。短期金利が上昇したことから、短期金融市場の需給逼迫が懸念されて中国工業商銀行や人寿保険といった金融株が売られ、相場の下落を主導しました。また、G20において、米国から中国の通貨政策に対して批判がでるのではないかとの懸念なども台頭したことも相場にマイナスでした。ただ、26日(金)は中国人民銀行の周小川氏が株式市場の発展に関する力強いコメントを行ったことから、再び政策期待が台頭し、株価は小反発。上海総合指数は前週末比で3.2%の下落となりました。

一方、香港株も中国本土株と同じような動きとなったものの、最終日に大きく切り返して、香港ハンセン指数は週間ではプラスで引けています。週初の22日(月)は、やはり中国証券監督管理委員会(CSRC)のトップ交代を好感。ただし、24日(水)は原油価格の下落や欧米株式市場の調整、また、G20を前にした様子見ムードが広がって下落。さらに25日(木)は本土株の急落に巻き込まれて大幅続落となりました。しかしながら、欧米株が急反発したことによって26日(金)は香港市場も急反発となり、週間では香港ハンセン指数は前週末比で0.4%の上昇で週を終えています。

 今週は本格的に3月初旬に開幕する「両会」に注目が集まりそうです。その意味でも3月1日(火)に発表される2月の財新中国製造業景況感指数と中国公式製造業景況感指数には注目が集まるところだと思います。予想以上に低い数字が出れば政策への期待感が高まるでしょうし、逆に良い数字が出ると政策への期待感が後退し、株価の悪材料になる可能性もあります。

コラム執筆:戸松信博
(グローバルリンクアドバイザーズ 代表取締役社長)