先週の中国株ですが、上海総合指数と深セン総合指数、創業板指数は反発、香港ハンセン指数は反落となりました。上海総合指数ですが、週初(2月1日(月))は軟調なスタートとなりました。中国鉄鋼大手の鞍鋼(00347)が2015年12月期の業績が赤字転落になるとの発表をするなど、資源系企業への業績懸念が膨らみ、資源株が下落して相場の下げを主導しました。ちなみに鞍鋼(00347)の赤字転落は3年振りである上、上場来で最大の赤字幅となります。2015年第3四半期時点ですでに赤字に転落していたので、通期の赤字転落は予想通りではあったのですが、赤字幅は予想を大きく超えるものでネガティブサプライズとなりました。中国の鉄鋼価格は12月上旬に底打ちして反発しており、鉄鋼業界への改革期待もあって、鞍鋼(00347)の株価も1月に入ってやや反発気味に推移していただけに反動も大きなものとなっています。

しかし、2月2日(火)は反発。テクニカル的な反発が生まれやすい地合いの中、中国の中央銀行である人民銀行が、資金が逼迫しやすい春節を前に、短期金融市場に大量の資金を供給していることが相場の下支えの材料となりました。さらにその後も、人民銀行が初回住宅購入者に対して、住宅ローンを組む際の頭金を引き下げるといった緩和策を打ち出したことなどもあり、週末にかけて小高い相場展開が続きました(ただし週末に人民銀行が「金融政策を調整する余地は限られている」との見解を示したことから、早期の金融緩和観測が後退し、2月5日(金)は小幅安で週を終えています)。もっとも、今週から春節の長期連休に入るため、既に休みに入っている投資家も多く、出来高は週を通して低調であり、総じて先週は、様子見の値動きとなっておいます。投資家の戻ってくる春節の長期連休明け以降に相場の方向性が出てくるのではないかと思います。

一方で香港株ですが、こちらは中国本土株に比べてずいぶんと弱い動きになりました。特に2月3日(水)は急落して、香港ハンセン指数は1万9,000ポイントを割り込みました。原油価格が急落して石油株が売られたことに加え、中国当局が中国本土の住民に対して、近く、香港での保険購入を制限するとの報道から保険株が大きく売られ指数を押し下げました。その後、原油価格の反発もあって株価は反発したものの、中国本土株同様、出来高も低調で力強いトレンドが出るまでには至っていません。

今週は春節の連休のため、株式市場も休場となります。中国本土市場は2月12日(金)まで休場となり2月15日(月)から取引再開、香港市場は2月10日(火)まで休場で2月11日(水)から取引再開となります。

コラム執筆:戸松信博