先週の中国株ですが、上海総合指数と深セン総合指数、創業板指数は反落、香港ハンセン指数は反発となりました。上海総合指数ですが、週初1月25日(月)は堅調なスタートとなりました。原油価格の反発を背景に中国石油などの石油株が上昇したほか、中国の内閣にあたる国務院が鉄鋼業界や石炭業界の供給過剰解決に向けて構造改革を加速する方針を示唆したことから、石炭・鉄鋼株が上昇しました。しかし、1月26日(火)は急反落となり1年2ヶ月振りの安値を付けました。中央銀行が公開市場操作で短期市場へ資金を大量に供給していることを背景に預金準備率の早期引き下げ期待が後退したことが要因です。その他、この日は原油価格の下落も影響しました。

27日(水)も途中までは急落したのですが、上海総合指数が2営業日で10%以上急落したことを受け、自立反発の動きがあったことに加え、当局の買い支えが入ったとの観測もあり、主力株が牽引する形で切り返し、長い下髭をつける形になりました。しかし、28日(木)は大幅続落。そして最終日の1月29日(金)は日銀がマイナス金利の導入に踏み切ったこともあり、アジア市場が全体的に上昇したことから急反発となり、週を終えています。28日(木)までの値動きを見ると、株価は下へ下へと向かっているのに対し、中国当局が無理に買い支えている印象で、アク抜けがしきれない様子です。目先は市場心理の改善から反発基調が続く可能性もありますが、政府から大きな対策が出ない限り、長期的には、引き続き下落圧力がかかるのではないかとも思われるところです。

一方、香港株ですが、当局の買い支えがある中国本土株に比べると先に下げきった様子で先々週の1月21日(木)が底になる形で下げ渋っておりました。そこに日銀のマイナス金利導入によって資金流入の期待が高まり、29日(金)は急反発となっています。

もっとも、香港のニュースを見る限り、今回の日銀のマイナス金利導入が正確に理解されていない印象もあり(マイナス金利がつくのは昨年の日銀の当座預金の平均残高を超える部分だけで、昨年の平均残高までについては従来通り+0.1%の金利がつく(ただし、所要準備額は0%のまま))、50日移動平均線程度までの短期的な反発は続く可能性はありますが、これが長期的な上昇トレンドになっていくかどうかは依然不透明なままです。今回の日銀のマイナス金利導入は現時点では実態経済にはさほど影響はないものと思われます。香港株が長期上昇トレンドに向かうためには、やはり米国の利上げの中止や中国当局による金融緩和や景気刺激策が必要になってくるのではないかと思われるところです。

コラム執筆:戸松信博