先週の中国株ですが上海総合指数と深セン総合指数と創業板指数、香港ハンセン指数は週間で揃って上昇となりました。中国本土株ですが、14日(月)は小安く始まりましたが、複数の証券株や保険株などがストップ高となったほか、国有企業改革期待銘柄も大幅高となり、終わってみれば上海総合指数は前日比で+2.5%の大幅高となりました。上昇した要因ですが、政府系機関による株価の買い支えがあったとする見方があります。また、中央経済工作会議による政策期待も株価を後押ししました。その後、15日(火)と16日(水)は小幅な値動きでしたが、17日(木)は再び大幅上昇となります。理由は米国の9年半振りの利上げを好感した世界的な株高の好影響を受けたことです。18日(金)は小反落となったものの、上海総合指数は週間で+4.2%の上昇となっています。
一方、香港株ですが週初は続落からスタートし、15日(火)も軟調な株価推移となりました。原油価格が下げ止まらずに石油関連株や資源株が売られました。ただ、前述のように中国本土株が政府の買い支えとみられる買いで上昇に転じたことを材料として中国本土株が買われ、下落幅は限定的でした。そして、米国のFOMCを前にした16日(水)に大きく上昇。特に金利の上昇によって利鞘拡大による業績改善効果が見込める銀行株が上昇し、株価を牽引しました。また、原油価格が反発に転じたことから、売り込まれていた石油関連株も反発。ただ、18日(金)には再び原油価格が下落に転じたことから、石油関連株は再び売られています。結局香港ハンセン指数は前週末比で+1.4%の小幅高となっています。
先々週の暗い雰囲気の中から反発に転じた中国株ですが、今週は先週末に世界的に株価が下落していることや、2016年1月7日に今年7月 に実施された大株主の株式売却禁止措置が終了する予定であり、その前に株を売っておこうとする動きが出る可能性があることから、調整気味の株価推移も予想されるところです。しかし、それだけに、中国政府の買い支えや中央経済工作会議で株価を後押しする政策が出てくる可能性があり、そうなった場合は続伸となる余地も残すところです。一方、人民元のドルに対する値動きは下落が続いており、10月末から2.6%ほど切り下がっています。そして、今なお下落基調が続いています。もちろん人民元安は中国経済にとってプラスですが、他国にとってはマイナスで、特に新興国にとっての悪影響は大きくなる可能性があるので注意が必要と思います。
コラム執筆:戸松信博