先週の中国株ですが上海総合指数と香港ハンセン指数は反落、深セン総合指数と創業板指数は続伸となりました。上海総合指数ですが、週初は小幅ながら堅調なスタートとなりました。先々週末に2016年1月1日からサーキットブレーカー制度が導入されるとの報道があり、市場心理に好影響を及ぼしました。サーキットブレーカーの内容ですが、上海と深センの主要300銘柄で構成されるCSI300指数の騰落率が5%以上に達した場合、15分間取引が停止され、騰落率が7%に達した場合はその日の取引が終了になるというものです。

しかし、12月8日(火)に発表された11月の中国の輸出が6.8%減と、10月実績の6.9%減よりは改善したものの、市場平均予想の5.0%減を下回り、13ヶ月連続で前年実績を割り込みました。これによって中国経済の失速懸念が台頭し、相場は反落しています。ちなみに輸入は8.7%減となり、こちらは10月実績の18.8%減や市場平均予想の11.9%減よりも、良い結果となっています。その後は方向感のない取引が続きましたが、12月11日(金)は下落して11月3日以来の安値で週間の取引を終えました。軟調な株価推移となっている背景には、今週、米国で開催されるFOMCで利上げが発表された場合、実質的にドルと連動した動きになっている人民元に更なる切り下げ圧力がかかるのではないかとの懸念があります。

一方、香港ハンセン指数も週間で3.5%安と、大きく反落しました。先週に引き続き、原油価格の下落によって中国石油天然気(00857)などの時価総額の大きな石油関連株が下落したことと、米国の利上げへの懸念が相場の足を引っ張っています。また、先週は人民元安が大きく進んだことから、銀行株をはじめ、中国株が全般的に売られたこともあります。ちなみに米ドル人民元の為替レートは、8月の切り下げ時につけた一時安値を抜き、年初来の安値で週を終えています。先週の状況を見ると、中国株も、やはり米国の利上げの影響を受けている様子です。先週から一気に世界的にリスクオフ志向が鮮明になっていることもあり、米国でFOMCが開催される今週は、引き続き原油価格と人民元レートに大きな注意を払う必要があります。

コラム執筆:戸松信博