あじさいの綺麗な季節になりました。あじさいほど、梅雨とイメージが合致する花はないでしょう。嫌いではないのですが、どこかパッとしないイメージがあります。日本に古くからある花ですが、古今集には一回も登場しません。調べてみると、万葉集には二首詠まれているのですが、古今集から新古今集までの八代集の中で、あじさいは一首も詠まれていないようです。鎌倉時代に入っていくつか詠まれているようですが、それらも主役はあじさいについた露に映る月の光であったり、あじさいの花の下に群がってもう一つ花が咲いたように見える蛍だったりして、あじさいはあくまでも脇役のようです。
小さい頃に、根本に石灰を撒いてアルカリ性にして花を赤紫色にしたり、逆に酸性にして青くさせたりした記憶がありますが、そんな風に扱われてしまうのも、どこか花に対するリスペクトがないような気がします。あのボテッとした大きさが、可愛らしくないのでしょうか。朝顔も古今集には詠まれていませんから、あの手の青色は、平安貴族には受けなかったのでしょうか。絵巻にも、暖色系の色ばかりで、寒色、即ち青色は見た覚えがありません。平安の頃、空や海の青が今よりもずっと鮮やかで、他の青色は目立たなかったのでしょうか。
- 松本 大
- マネックスグループ株式会社 取締役会議長 兼 代表執行役会長、マネックス証券 ファウンダー
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ソロモン・ブラザーズ・アジア証券会社を経て、ゴールドマン・サックス証券会社に勤務。1994年、30歳で当時同社最年少ゼネラル・パートナー(共同経営者)に就任。1999年、ソニー株式会社との共同出資で株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)を設立。2004年にはマネックス・ビーンズ・ホールディングス株式会社(現マネックスグループ株式会社)を設立し、以来2023年6月までCEOを務め、現在代表執行役会長。株式会社東京証券取引所の社外取締役を2008年から2013年まで務めたほか、数社の上場企業の社外取締役を歴任。現在、米マスターカードの社外取締役、Human Rights Watchの国際理事会副会長、国際文化会館の評議員も務める。