ステッパーって御存知ですか?ICやLSIなどの集積回路や液晶ディスプレイを製造する最先端工作機械のことで、IT社会にはなくてはならない極めて重要なものです。。ニコンやキヤノンなどの日本メーカーが世界的に圧倒的に強い分野なのですが、世界最大のチップメーカーであるインテルが、現在開発中の次世代機を買わないで、今使っているステッパーでもうしばらく生産を続け、次世代機の更に次の世代の機械まで待つと発表しました。インテルの決定は、当然世界中のメーカーに影響を及ぼす可能性があるでしょう。仮に新型工作機械の需要が一気になくなるとなると、ステッパーのメーカーにとっては深刻な影響があるかも知れません。更に気になるのは、こういった工作機械やサーバーなどのハイテク機械の耐久性と性能が実は飛躍的に向上し過ぎてしまっていて、新型機に交換するニーズが全体に低くなっているのではないかということです。技術が進み、高性能でかつ丈夫過ぎるクルマを作ってしまい、誰もクルマを買い換えなくなってしまい、却ってクルマ・メーカーの経営が厳しくなる、というような話です。もしそういうことが本当にハイテク産業の中で起きつつあるとすると、世界的な需要の低迷を意味しますから、深刻な景気後退になりかねません。この話は今後要注意だと思います。
- 松本 大
- マネックスグループ株式会社 取締役会議長 兼 代表執行役会長、マネックス証券 ファウンダー
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ソロモン・ブラザーズ・アジア証券会社を経て、ゴールドマン・サックス証券会社に勤務。1994年、30歳で当時同社最年少ゼネラル・パートナー(共同経営者)に就任。1999年、ソニー株式会社との共同出資で株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)を設立。2004年にはマネックス・ビーンズ・ホールディングス株式会社(現マネックスグループ株式会社)を設立し、以来2023年6月までCEOを務め、現在代表執行役会長。株式会社東京証券取引所の社外取締役を2008年から2013年まで務めたほか、数社の上場企業の社外取締役を歴任。現在、米マスターカードの社外取締役、Human Rights Watchの国際理事会副会長、国際文化会館の評議員も務める。