「あなたにもできる構造改革」という話を何度かしてきました。即ち、政府が言っている構造改革の一つの大きな部分は政府がお金を何に使うかという問題であり、そうであれば最初から政府にお金を貸さないで自分でお金の行き先を決めれば、自ずと構造改革はできると。
具体的には郵便貯金という形で政府にお金を「貸さ」ないで、その代わりに将来の日本の為に必要と思われる企業の株を買うなどして、個人々々でお金の配分を変えてしまう訳です。
しかし、「当面は株価も不安定であるし、郵便貯金などの方がリスク・リターンを考えると魅力的である。だから取り敢えず『今は』、『自分は』、郵便局にお金を入れておこう。個人による構造改革の波が来たら、勿論自分も喜んで参加しよう」と考えがちで、するといつまでたっても変化は起きないということになってしまいます。
私はこの問題は、電車の中でお年寄りに対して席を譲ることにどこか似ていると思っています。お年寄りが来る。自分よりも若くて、健康そうな人も大勢座っている、何も自分が立たなくてもいいだろう。そして自分は今日は特別疲れているのだ。そう考えると何も起きません。まず自分が率先して立つ。そうしているうちにみんなが、特に若い人が率先して立つようになる。そういう流れが理想的です。お金はきれい事では済まされません。しかし構造変化が起きなければ、そのツケを払わせられるのも紛れもなく自分たちです。