先週の中国株ですが、上海総合指数、深セン総合指数、創業板指数、香港ハンセン指数は続伸と、揃って強い基調となりました。中国本土株は追加金融緩和への期待が膨らむ中、週初より強い基調でスタート。中国政府は10月10日(土)に広東省や山東省で試験運用してきた、貸出資産を担保とする再貸出制度を上海市や北京市など主要9省市でも導入すると発表。これが中国版の量的緩和政策に当たるとの見方が広がり、中国本土株は強い基調で推移。主要指数のチャートは底を打った感じとなっています。さらに言えば、10月26日~29日に開催予定の第18期中央委員会第5回全体会議(5中全会)でも景気刺激策や金融支援策が出てくるのではないかとの期待も株価を後押ししており、10月16日(金)には政策発表期待で環境関連株が大幅高となっています。
もっとも、中国人民銀行のチーフエコノミストは貸出資産を担保とする再貸出制度を中国版の量的緩和制度と解釈するのは誤っており、マネーサプライに大きな影響はないとの見解を発表しています。ただ、直近の中国の経済指標を見てみると、10月13日(火)に発表された9月の輸出は3.7%減と、市場平均予想の6.0%減や8月実績5.5%減を上回ったものの、輸入は20.4%減と市場平均予想の15.9%減や8月実績13.8%減を大きく下回り、10月14日(水)に発表された9月の消費者物価指数も1.6%増と市場平均予想の1.8%増や8月実績2.0%増を下回っていることから、中国経済のスローダウンは続いており、金融緩和策や景気刺激策が期待される地合いは、今後も続くものと見られます。
香港市場も中国本土市場と同様に強い推移となりました。こちらは週後半に欧米の株式市場が大きく上昇していることも株価を後押ししています。今週ですが、19日(月)に中国の各種経済指標が発表されます。第3四半期のGDP、9月の小売売上高、9月の工業生産などです。これまでに発表された指標から考えても、弱い数字が発表されると思いますが、今週は5中全会前だけに、金融緩和や景気刺激策への期待が引き続き高まる形で、株価上昇が続くのではないかと予想します。
コラム執筆:戸松信博