先週の中国本土市場は中国国慶節(建国記念日)の連休のため、10月1日(木)と2日(金)は休場で3営業日の取引となりました(10月8日(木)から取引再開となります)。香港市場は10月1日(木)のみ休場で4営業日の取引でした。株価ですが、上海総合指数は小幅続落、深セン総合指数と創業板指数は続伸、香港ハンセン指数は反発となりました。中国本土市場は国慶節の大型連休を控え、リスク回避の動きから取引は低調で、9月30日(水)のA株の出来高は年内最低水準となりました。また、連休中に海外で株価が急落すると対応できなくなるため大型株を中心に手仕舞い売りと見られる売りが見られ、終始軟調な推移となりました。
中国国内の材料を見ると、9月28日(月)に発表された8月の中国工業企業利益伸び率は-8.8%と7月実績の-2.9%を大きく下回りました。そして10月1日(木)に発表された9月の中国公式製造業景況感指数は49.8と市場平均予想49.7や8月実績49.7を若干ですが上回りました。また、財新メディアの9月中国製造業景況感指数確報値も47.2と市場平均予想47.0や速報値47.0を上回っています。その一方で、9月の中国公式サービス業景況感指数は53.4と8月実績の53.4から横ばいとなり、財新メディアの9月のサービス業景況感指数は50.5と8月実績の51.5を下回りました。
製造業景況感指数は若干市場予想を上回って着地したものの、依然として弱い推移が続いています。そこで市場は10月に開催される中国共産党第18期中央委員会第5回全体会議(5中全会)に注目しています。同会議では第13次5カ年計画(2016~20年)が議題にのぼる予定で、景気を刺激するような政策材料が出てくるかどうかが焦点となります。
一方で香港株は極端な値動きになりました。世界的な株価下落もあり、9月29日(火)は商品関連、カジノ関連を中心に大幅安となり年初来安値を更新しました。特にスイスの資源商社大手のグレンコア(00805)が資源安の進行で負債を返済しきれなくなるとの懸念から急落して下落を牽引。ところが30日(水)は中国政府が小型乗用車とSUV(スポーツタイプの多目的車)の購入に関する課税を半減にする政策を打ち出したことから自動車株を中心に急反発。また、グレンコアも財務問題を否定したことから反発しています。そして、祝日を挟んだ10月2日(金)は、前日に中国政府が不動産の初回購入者の頭金の要件を引き下げる不動産市場向けの追加刺激策を発表したことで、不動産株を中心に大幅反発となりました。
中国政府は2015年の成長目標を達成するためにも、ここにきて景気刺激策を連発しています。今週も政府の政策が相場の大きなキーとなりそうです。本土市場は前述の不動産市場向けの追加刺激策を受けて、連休明けに香港のような大幅上昇となるかに注目できると思います。
コラム執筆:戸松信博