先週の中国株ですが、上海総合指数は小幅続落、深セン総合指数と創業板指数は小反発、香港ハンセン指数は反落となりました。中国本土株は週初、明るい雰囲気でスタート。周近平国家主席の訪米による米国からの受注獲得期待銘柄や、国営企業改革進展で恩恵を受ける銘柄の物色が高まりました。しかし、9月23日(水)には一転して急反落。財新メディアが発表した9月の中国製造業景況感指数(PMI)の速報値が47.0と、市場平均予想の47.5や8月の確報値の47.3を下回り、6年半振りの低水準となったことが中国経済の失速懸念へとつながりました。
中国製造業景況感指数(PMI)については、特に新規輸出受注が弱くなっていることと、いずれの部門を見ても明るい兆しが見えてこないことから、景気刺激策により中国経済が年末に向けて回復していくとの思惑が後退しました。週後半についても、出来高は低調でそのまま軟調な相場展開が続きました。特に25日(金)は中国本土市場でIPOが近く再開されるのではないかとの懸念に加え、米国のイエレンFRB議長が年内の利上げの公算が大きいとコメントしたことも重しに。個別では中国政府が電気自動車向けの充電設備の整備を促進させる方針を発表したことから電気自動車関連が買われました。
香港株も中国本土株と同じような展開となりましたが、前述の中国製造業景況感指数(PMI)の低下が中国本土株以上に株価に悪影響を与えて23日(水)は大幅続落となりました。これに加えて米国株が軟調に推移したことやイエレンFRB議長の年内利上げの公算が大きいとのコメントが市場心理に影を落としました。香港ドルは米ドルにペッグしているため、米国が利上げに踏み切れば香港も利上げを行う必要が出てくるため、ストレートに株式市場や景気に影響が出ます。
今週の中国の経済指標ですが、9月28日(月)に8月の中国工業企業利益伸び率が、10月1日(木)に9月の中国公式製造業景況感指数、9月の中国公式サービス業景況感指数、財新メディアの9月中国製造業景況感指数確報値、サービス業景況感指数がそれぞれ発表される予定です。これまでは弱い経済指標が出ると、金融緩和や景気刺激策への期待が高まって株価は上昇する傾向にあったのですが、前述のように、下半期への回復期待が後退しているところですので、弱い数字が出ると株価下落のキッカケとなりかねないので注意が必要です。
コラム執筆:戸松信博