先週の中国株ですが、上海総合指数、深セン総合指数、創業板指数、香港ハンセン指数は揃って反発となりました。上海総合指数ですが、9月7日(月)は中国人民銀行(中央銀行)の周小川総裁がG20で株式市場の調整はほぼ収束したとの見方を示したにもかかわらず、大型株が売られ、続落からのスタートとなりました。ところが9月8日(火)は同日に発表された中国の8月の輸入(前年比)が13.8%減と、市場平均予想の7.9%減、7月実績の8.1%減を共に大きく上回る減少であったことから、当初は軟調な推移となったのですが、終盤に財政出動への期待が高まり急反発となりました。ちなみに8月の輸出(前年比)は5.5%減となり、市場平均予想の6.7%減、7月実績8.3%減を共に上回りました。

そして翌9日(水)も、中国財政省がインフラプロジェクトの強化を約束したことから、出来高を増して続伸となりました。これで大きく流れが変わったとの見方もあったのですが、10日(木)は李克強首相が中国経済のハードランディングはないと強調し、約7%とする経済成長達成にも自信を示したものの、同日発表された8月の中国消費者物価指数(CPI)が2.0%増と、市場平均予想の1.8%増や7月実績の1.6%増を上回る結果となったことが嫌気され、利益確定売りに押されて反落(ただし、出来高は減少)。11日(金)も小反発とはなったものの、13日(日)に小売売上高や鉱工業生産指数などの主要経済指標の発表を控える中、様子見基調が広がり、出来高は更に減少して、方向感の無い展開となりました。

香港市場も概ね中国本株と同じような動きとなりましたが、中国政府の買い支えの影響が無い分、値動きは激しいものとなりました。9月8日(火)は一時、年初来安値を更新しましたが、終盤に急速に切り返して香港ハンセン指数は前日比3.3%高。翌9日(水)も大きく出来高を増して続伸となり、前日比4.1%の大幅高となっています。10日(木)は反落、11日(金)も続落となりましたが、香港ハンセン指数は前週比で3.2%高となりました。

なお、13日(日)に発表された8月の小売売上高は前年比10.8%増と、市場平均予想の10.6%増、7月実績の10.5%増を共に上回りました。一方、8月の鉱工業生産は6.1%増となり、7月実績の6.0%増は上回ったものの、市場平均予想である6.5%増は下回っています。結果として、経済支援策への期待がやや高まる結果になるものと思われます。ただ、今週は米国のFOMCがあり、その結果が中国株にも大きな影響を与えるものと思われます。中国株も、FOMCの結果が出るまでは様子見基調が続き、その結果次第で大きく株価が動く展開となりそうです。

コラム執筆:戸松信博