中国が最近とても気になります。日本の指導層は、中国の重要性を認識しながらも、日本に追い付き、追い越すまではまだまだ時間が掛かると高をくくっている感じがするのですが、本当にそれでいいのでしょうか?
中国の人口は日本の10倍。そもそもの文化・文明レベルは極めて高い。目的意識を強く持ち、「WE CAN HELP THE WORLD」を合言葉に英語を勉強する人達。過去15年間ほど、毎年5万人の大学生を海外に留学に出し、その多くが今は国に帰って政府や民間の若きリーダーとなり、欧米の手法も理解し、欧米に多くの知己を持ちながら、母国の近代化を進めようとしている国。50年後には中国のGDPは恐らく間違いなく日本の数倍になっているでしょう。GDPで抜かれるのは20年後かも知れませんし、5年後かも知れません。しかしいずれにしろいつか抜かれることは、ほぼ明らかな訳です。
そんな大国、中国。しかもすぐ隣の国です。これが気にならずしてどうしましょう。
中国のGDPは日本の約4分の1。しかし購買力平価は20分の1程度でしょうか。そうすると、すでに購買力平価で調整したGDPで比べると、中国は既に日本の5倍になっています。
中国経済がこれから大きく伸びるのか、それと並行して、或いは前倒しで、或いは遅れて、為替が切り上げられていくのか。いずれにしろ日本、そして世界に対する影響は甚大です。中国は決して避けては通れない、そして後回しにもできない、今目の前にある重大な問題なのです。
2週間ほど前にシンガポールの指導者、リー・クワン・ユーの話を聞く機会がありました。曰く、「我々は中国から来た。いわば中国が本家本元である。その中国が真剣に近代化していこうとする時、シンガポールが北京や上海に勝てる訳がない。アジアの数学オリンピックでシンガポールが7つの金メダルを取ったのだが、そのうち6人は中国本土からの留学生だった。ではだからと言ってシンガポールは何もなす術がないのか?何もしなくていいのか?そうではない。このような認識の中でもシンガポールがすべきことは一杯あるのだ」と。
冷静な状況分析と明確なヴィジョン。正にリーダーの面目躍如といった所ですが、我が国も中国に対しては、国家としてきちんとした認識とヴィジョンを持つべき段階に来ていると思います。