以前からつぶやきでも書いている通り、3月19日に速水日銀総裁の任期が来ます。この日銀総裁にまつわる考えを数回に分けて話します。小泉首相と塩川財務大臣で、新総裁人事決定の時期について見解が分かれているような報道もありましたが、恐らく決定時期はギリギリまで引き延ばされることになると思います。速水総裁は必ずしもインフレ論者でも円安論者でもありませんでした。しかし新総裁はインフレ・円安がキーワードとなるでしょう。或いは、そのような主張を持った人でないと、現時点においては新総裁には任命されないでしょう。つまり速水総裁と新総裁では、重要で基本的な政策について或る意味で反対の立場を取っている訳です。新総裁決定と同時に現総裁は任期満了を待たずしてその指導力を急速に落として行くでしょう。かといって現総裁は今までの主張と180度違う政策は打てないと思います。そう考えると早目に決定する政治的メリットはなさそうです。それは無闇に日銀の施策に真空ポケットを作るだけです。ですから決定はギリギリまで遅れると思っています。
- 松本 大
- マネックスグループ株式会社 取締役会議長 、マネックス証券 ファウンダー
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ソロモン・ブラザーズ・アジア証券会社を経て、ゴールドマン・サックス証券会社に勤務。1994年、30歳で当時同社最年少ゼネラル・パートナー(共同経営者)に就任。1999年、ソニー株式会社との共同出資で株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)を設立。2004年にはマネックス・ビーンズ・ホールディングス株式会社(現マネックスグループ株式会社)を設立し、以来2023年6月までCEOを務め、その後代表執行役会長。2025年4月より会長(現任)。東京証券取引所の社外取締役を5年間務め、政府のガバナンス改革会議等に参加し、日本の資本市場の改善・改革に積極的に取り組んで来た。ヒューマン・ライツ・ウォッチの副会長を務め、現在は米国マスターカード・インコーポレイテッドの社外取締役。東京大学法学部卒業。