昨日つぶやいた「風力発電」には多くの読者の方からメールを頂きました。私の発想のきっかけとなった理屈は正しいのですが、その適用と程度の問題として間違っているようです。大変失礼致しました。理屈は熱力学第一法則(エネルギー保存則)です。「物体の内部エネルギーと運動エネルギーと位置エネルギーの変化の和は、物体に与えられた仕事量から発生する熱量を引いたものに等しい」。水力発電も風力発電も、エネルギーの根源は太陽熱です。太陽熱によって海水などが蒸発して雲となり、いずれ雨となり、ダムの上という位置エネルギーの高い場所に運ばれる。それが水力発電の源です。同様に太陽熱が作り出す大気の対流、即ち運動エネルギーが風力発電の源です。これらのエネルギー源が、水車や風車を通してエネルギーに変換されます。水車や風車が間に挟まらない場合と比較して何が違うかというと、発電されたエネルギーの分だけ(発電に伴うエネルギーのロスについての考慮は除く)運動エネルギーか熱量が減ります。但しその減り方の配分が、ほとんど運動エネルギーであり、しかもその程度が10対1とか100対1とかではなく、正確な数字は分からないのですが、何万対1とか何百万対1(或いはそれ以上)である為、現象としては熱量に変化はなく運動エネルギーが減るというのが正しいようです。相対性理論によると、どんな物体でも動いていれば長さは縮まりますが、通常のスピードではその縮まり方はナノとかの世界なので、「動くと縮む」と言うとそれは間違いになります。恐らくそれと同じ類の問題でしょう。私はこれらのことについて専門に勉強していませんので、また間違っているかも知れません。マーケットにおいて理屈をすべて適用しようとしても、それは無理な相談です。そういうことは良く分かるのですが、物理の話ではやはりシロウトですね。勉強になりました。(アシカラズ)
- 松本 大
- マネックスグループ株式会社 取締役会議長 兼 代表執行役会長、マネックス証券 ファウンダー
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ソロモン・ブラザーズ・アジア証券会社を経て、ゴールドマン・サックス証券会社に勤務。1994年、30歳で当時同社最年少ゼネラル・パートナー(共同経営者)に就任。1999年、ソニー株式会社との共同出資で株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)を設立。2004年にはマネックス・ビーンズ・ホールディングス株式会社(現マネックスグループ株式会社)を設立し、以来2023年6月までCEOを務め、現在代表執行役会長。株式会社東京証券取引所の社外取締役を2008年から2013年まで務めたほか、数社の上場企業の社外取締役を歴任。現在、米マスターカードの社外取締役、Human Rights Watchの国際理事会副会長、国際文化会館の評議員も務める。