先週の中国株ですが、上海総合指数、深セン総合指数、創業板指数、香港ハンセン指数は揃って大幅続落となりました。中国本土株は週初から急落。先週もお伝えしましたが、8月21日(金)に財新メディアが発表した8月の中国製造業景況感指数(PMI)が47.1と驚くほど弱く、中国経済の減速懸念が拡大する中、上海総合指数では心理的な節目とみられていた3500ポイントや3300ポイントを下回っても株価支援策が打ち出されなかった失望感から、8月24日(月)と25日(火)の2日間だけで、先々週末の終値から15.5%もの大暴落となりました。

ただ、25日(火)の夜には中国人民銀行(中央銀行)が昨秋以来5回目となる利下げを行ったほか、預金準備率の引き下げを行ったことから週央に急落の流れは止まりました。そして27日(木)と28日(金)は両日とも引け間際に大型株が牽引する形で株価は急反発。両日とも引け間際の急騰であったことと、上昇に大量の資金を要する大型株が上昇を牽引したことから、今週予定されている抗日戦争勝利70周年を記念する軍事パレードを前に、中国当局による買い支えが行われたのではないかとの観測も出ています。なお、今週は9月3日(木)と9月4日(金)が抗日戦勝記念日で祝日です。株式市場も休場となるため中国本土市場は3日間の取引となります。

香港株も中国本土株と同じような値動きとなったのですが、大きく違いが出たのは28日(金)です。前述のように中国本土市場は引け間際に株価が急騰したのに対し、香港株は大きく上昇して始まったのですが、引けにかけて売られて結局前日比マイナスで引けています。前半は米国株高と、この日に発表された7月の中国工業企業利益が前年同月比で2.9%減となり、6月の0.3減を大きく下回ったことから、逆に金融緩和や景気刺激策の継続が期待されて上昇したのですが、週末ということもあり、先行きに対する懸念から戻り売りに押された模様です。なお、香港市場は9月3日(木)が休場となります。

今週は抗日戦争勝利70周年の軍事パレードが予定される中、中国当局による株価支援策があるかに注目です。軍事パレードまでの期間は指数先物の売りや国有企業からの売りも厳しく制限されると予想します。また、9月1日(火)に中国国家統計局と中国物流購入連合会が発表する8月の中国公式製造業景況感指数(PMI)にも注目。ここで市場予想よりも良い結果が出てくれば、中国の景気減速懸念が一時的に後退し、株価上昇の材料となる可能性があります。もっとも、中期的にはいずれ反落して2番底を確認しにいく動きになると思いますので、用心深く、株価推移を見まもりたいところです。

コラム執筆:戸松信博