先週の中国株ですが、上海総合指数、深セン総合指数、創業板指数は反落、香港ハンセン指数は続落と、そろって下落となりました。週初の7月27日(月)から中国株は大幅続落となりました。上海総合指数は8.5%の急落となり、8年5か月ぶりの下げ幅を記録。急落のキッカケとなったのは中国証券監督管理委員会(CSRC)傘下の中国証券金融が市場を安定させるために確保した資金の一部を商業銀行に前倒しで返済したという噂でした。中国当局が行っている株価買い支えの縮小、あるいは早期の撤退が懸念されたわけです。

もちろん当局はすぐにこれを否定し、中国証券監督管理委員会(CSRC)は27日(月)遅くに株価の買い支えを強化する方針を発表。28日(火)は指数に影響度の高い大型株の買い支えを強化したようですが、28日(火)も下げ幅は縮小したものの続落。その後も株式売却規制違反を調べたり、自動取引に対する調査を行ったりと、株価下落の犯人捜しに躍起になりましたが、株価は上下しながら概ね横ばいで、様子見の推移となっています。ただ、上海総合指数ですが長期の下値支持線となっている200日移動平均線は割らずに推移しており、心理的な節目はなんとか保っている状況といえるでしょう。

一方、香港株も中国本土株と同じような展開となっています。今後も中国本土株の動向が焦点となるでしょう。そしてその中国本土市場ですが、まだ取引停止となっている銘柄も多く、それらが取引再開となると、これまで売ることが出来なかった投資家からの売りが集中して株価下落の要因となりえます。また、株価は急落したとはいっても一年前の水準から考えれば60%以上も高い水準にありますので、株価が戻れば利食いや損切りをしたいと思う投資家はまだまだ多いと思います。したがって今後も上がっては下げ、上がっては下げというもみ合いを繰り返すのではないかと予想されるところです。

なお、需給問題以外にも中国経済の失速懸念があります。前回もお伝えしましたが財経・マークイットの発表した7月の中国製造業景況指数(PMI)速報値が48.2(50未満は業況の縮小を意味する)と、6月実績の49.4や市場平均予想の49.7を大きく下回り、2014年4月以来の低水準に落ち込みました。これに加え、8月1日(土)に発表となった中国政府公式の7月の中国製造業景況指数(PMI)も50.0と、6月の50.2、市場平均予想の50.1を共に下回っており、中国経済の失速懸念は更に膨らんでいるところで、政府からの景気刺激策が期待されるところでもあります。

コラム執筆:戸松信博