先週の中国株は上海総合指数と深セン総合指数、創業板指数、香港ハンセン指数は揃って大幅続落となりました。6月22日(月)が端午節の祝日のため休場だった中国本土株式市場ですが、連休明けは比較的堅調なスタートとなりました。6月23日(火)に発表された6月のHSBC中国製造業景況感指数(速報値)が49.6となり、市場平均予想の49.5や5月実績49.2を上回ったことから中国経済失速に関する懸念が後退し、6月23日(火)はプラスで終了し、翌6月24日(水)も続伸となりました。
ところが大型IPOに伴う資金凍結による需給懸念が出て6月25日(木)は大幅反落に。そして26日(金)はジリジリと値を下げる展開で上海総合指数は7.8%安、深セン総合指数は7.9%安、創業板は8.9%安と各指数とも大幅続落となりました。その他、6月は中国企業の中間決算にあたり、中国の銀行が当局の目を迂回して行っている証券投資向けの融資を回収する可能性があるといった懸念が株価の下落を誘引しました。また、現在の中国本土株の株価水準は維持できる水準ではないとの悲観論も目立ちました。
もっとも、現在の中国本土株が過去のバブル期の水準と比較して同じレベルであるかというと、そうではありません。上海総合指数のPER推移を見ると、2000年のITバブル時、2007年のサブプライムバブル時にはPER50倍近くまで上昇していました。しかし、今回は26倍まで行ったところで調整し、現在は21倍です。その点から考えると、確かに調整は続くと思われるものの、過度の心配はいらないのではないかと思います。加えて言えば、中国証券監督管理委員会(CSRC)は今回の急落に対し、最近まで株価がかなり急激に上昇していたことを指摘し、それに対する調整だと述べています。そして、中国本土株式市場の対外開放など、政府の取り組みを述べ、今後もそれらの要因に支えられるはずだとしています
香港株も中国本土株と同じような動きとなりましたが、テンセント(00700)など、一部の主力株は比較的堅調な値動きを保っています。もともと中国本土株ほどは上昇していなかったので、ハンセン指数の下落幅も限定的でした。来週は中国本土株の下落基調に歯止めがかかるかどうかが焦点となります。今回の株価急落は中国の国債市場にまで飛び火し、中国金融当局は27日(土)に緊急会合を開催。結果として同日、昨年11月以降、4度目となる0.25%の利下げと一部の銀行の預金準備率の緩和を発表しています。おそらくこれで株価の下落基調には歯止めがかかると思われますが、再び下落してきた際、当局は同じように緩和をするのかどうか、難しい舵取りを迫られそうです。
コラム執筆:戸松信博