昨日のつぶやきで時代劇のことを書きましたが、今夜からフジテレビで「怪談百物語」という本格派の時代劇が始まるそうです。エースディレクター、人気脚本家、豪華出演者とかなりの力の入れようのようなのですが、気になることが一つあります。撮影媒体はビデオでしょうか、フィルムでしょうか。
最近のテレビドラマは殆どビデオカメラで撮られています。水戸黄門のような時代劇も今ではビデオです。ビデオの方が機材も軽く、現像というプロセスもないし、いろいろと機動的で便利なのでしょう。撮った作品の保管も楽です。しかしビデオとフィルムの間には、映像上決定的な違いが一つあると思っています。それは「風化感」とでも言うべき独特の味です。フィルムは所詮塩化銀の分子がプラスチック膜の上に並んでいる立体的な物理構造物ですから、その再現性には限界があり、ドアの取っ手や石仏が徐々に風化して丸くなっていくように、ディテールが甘くなります。特に暗い部分の表現の喪失の具合が、何とも言えない時代感を醸しだし、それが時代劇にとってはとても重要な要素だと、私は思っています。いい時代劇を撮るには、まずフィルムを使うという基礎的な部分からの設計が肝心です。さて今晩のスーパー時代劇、ビデオかフィルムか興味津々です。