先週の中国株ですが、上海総合指数と深セン総合指数、創業板指数は続伸、香港ハンセン指数は反発となり、そろって上昇となりました。中国本土株は週初から強い動きとなりました。6月8日(月)に発表された5月の中国輸出は-2.8%となり、市場平均予想の-4.4%、4月実績の-6.4%を共に上回った結果となる一方、輸入は-18.1%となり、市場平均予想の-10.0%、4月実績の-16.2%を共に下廻る結果となりました。しかし、依然としてマイナス成長となり弱い数字が続いていることから、これまで通り景気刺激策への期待感が高まる結果となりました。6月8日(月)に上海総合指数は7年5ヶ月ぶりに5100ポイントを回復しています。

しかし、翌9日(火)は翌日に中国核能電力(CNNP)の上場が控えていることから、また、10日(水)はモルガンスタンレーキャピタルインターナショナル(MSCI)のMSCI新興市場指数に中国本土A株の採用が見送られたことから、調整基調となりました。しかし、資金需要の高まる上半期末が近づくなかで、資金供給を目的とした金融緩和がなされるのではないかとの期待感が高まり、結果として上海総合指数と深セン総合指数は終値ベースで年初来高値を更新し、先週を終えています。なお、創業板指数も続伸となったのですが、中国証券投資基金協会が投資信託会社に対し、投機取引をやめるように勧告したことから、若干弱い基調となっています。

香港株は12日(金)に反発して週間ではプラスとなったものの、アジア全体の株安に押される形で軟調な推移でした。特に前述のMSCIによるMSCI新興市場指数への中国本土A株の採用見送りは大きなショックとなった様子です。また、香港で中東呼吸器症候群(MERS)の感染者が出た疑いがあるとの報道も株価に影を落としました。ただ、6月11日(木)に発表された中国の経済指標は株価にとって支援材料となりました。5月の新規人民元建て融資額は9000億円となり、市場平均予想の8600億元や4月実績の7079億元を上回り、5月の中国小売売上(前年同月比)も+10.1%となり、市場平均予想の+10.1%と一致したほか(4月実績は+10.0%)、鉱工業生産(年初来)も+6.2%となり、市場平均予想の+6.2%、1-4月実績の+6.2%と一致しました。その他、週末には深セン市場と香港市場の相互株取引「深港通」の詳細が近く発表されるのではないかとの観測も株価の支援材料となりました。

コラム執筆:戸松信博