先週の中国株ですが、上海総合指数は反発、香港ハンセン指数は続落、深セン総合指数と創業板指数は続伸となっています。中国本土株は全面高で非常に強い基調が続いています。6月1日(月)は前週の反落の反動から上海市場では200以上の銘柄がストップ高(10%)を付ける力強いスタートを切りました。国営メディアが先週の株価急落後に上昇基調は変わっていないとの強気の見通しを出したことが背景にあります。今回の株高の特徴は国営メディアや研究機関が強気の発言を続けていることです。それだけ、株価上昇による景気の下支えを期待していると言うことなのでしょう。
その後も信用取引の規制強化に関する懸念は出続けたものの、大型IPOの応募に伴って凍結されていた資金が解除されたことによる需給面の安心感や、銀行株などの大型株に割安感に着目した見直し買いが入ったことから、上海総合指数は2008年1月以来となる5000ポイント超えを達成しました。なお、6月1日(月)に5月の中国公式製造業景況感指数が50.2、5月のHSBC中国製造業景況感指数(確報値)が49.2 、6月3日(水)に5月のHSBC中国サービス業景況感指数が53.5 と、それぞれ発表されましたが、それほどは材料視はされませんでした。ただし、HSBC中国サービス業景況感指数は8ヶ月ぶりの高水準であり、特に新規受注と雇用の項目は数年ぶりの高水準となっています。
一方で香港市場は中国本土株に反して総じて弱い展開となっています。これは米国株が軟調に推移していることに加え、インドやインドネシアなど、アジアの新興国株式市場全般が軟調であったことが1つの原因となっています。これに加え、米国の有名な債券投資家であるビル・グロスが時期は未定としながらも、次の売りの目標として中国深セン総合指数を挙げたことも市場心理を悪化させました。
今週は6月8日(月)に5月の中国輸出と輸入、6月9日(火)に5月の中国消費者物価指数、6月10日(水)に5月の新規人民元建て融資額,6月11日(木)に5月の中国小売売上高(前年同月比)、鉱工業生産がそれぞれ発表されます。
コラム執筆:戸松信博