先週の中国株ですが、上海総合指数と香港ハンセン指数は反落、深セン総合指数と創業板指数は続伸となっています。中国本土株は7月1日から中国本土と香港間のファンド相互販売が開始されることになったことを受けて週前半は強い基調で推移。違法な信用取引を証券当局が取り締まっているとの噂が出ているにもかかわらず、上海総合指数は5000ポイントの大台の寸前まで上昇。引き続き、金融緩和・景気刺激策や深セン証券取引所と香港証券取引所の株式相互取引制度開始への期待感が株価上昇を支えました。5月27日(水)に4月の中国工業セクター企業の利益(前年同月比)が2.6%増と、3月実績の0.4%減を上回ったことも好材料でした。
しかし、5月28日(木)に上海総合指数は急反落。キッカケは中国政府系ファンドで、国有四大銀行の株主でもある中央匯金投資有限責任公司が工商銀行(01398)と建設銀行(00939)の株式を売却していたことが報道されたことでした。売却の規模は1銘柄あたり15億元~20億元程度で大きくはなかったのですが、株価が年初来高値を更新し続けているタイミングだっただけに、利食い売りのキッカケとなりました。加えていえば、今週に中国原子力大手の中国核能電力による最大21億6000万ドルの大型IPOが控えていることも相場の足をひっぱりました。結果として5月28日(木)の上海総合指数は6.5%安で今年2番目の下げ幅となり、5月29日(金)も軟調な推移に。ただし、上海総合指数の日足チャートを見ると一旦大きく下げたあとに回復して、長い下ヒゲをつけており、地合はそれほど悪化しているわけではないように見えます。
香港株も中国本土株と同じような展開となりました。週前半は7月1日からの中国本土と香港間のファンド相互販売開始を歓迎して香港証券取引決済所(00388)などが上昇を牽引。週後半は上海総合指数急落や米国株が調整した影響を受けて調整しました。しかし、香港でも大きな上昇後の調整だっただけに、健全な調整と見る向きが多いように感じます。
中国の経済指標ですが、今週は6月1日(月)に5月の中国公式製造業景況感指数と5月のHSBC中国製造業景況感指数(確報値) 、6月3日(水)に5月のHSBC中国サービス業景況感指数 がそれぞれ発表される予定です。
コラム執筆:戸松信博