不可解です。大証はナスダック・ジャパン(NASJ)市場に上場している各社に対して、「重要な会社情報の開示について」という文書を送りました(7月5日付)。内容は決算発表を始めとする重要な会社情報は、ED−NET(東証のTD−NETに相当する、報道機関向けの情報開示システムです)による開示から12時間の間はインサイダー情報であり、従って当該上場企業は、その情報をNASJのホーム・ページ(HP)や自社のHPにED−NET開示から12時間以内に掲載するとインサイダー・トレーディングを助長しうるので、そのようなことはしないようにというものです。これはおかしい。12時間はインサイダー情報であることは現法令では確かにそうですが、ED−NETを見て報道機関が書いた記事は二次情報となりもはやインサイダー情報にはなりません。それが新聞などであれば機関投資家も個人投資家も同じタイミングで読めるかも知れませんが、機関投資家向けの高価な情報サービスなどにまず最初に配信されますから、このような指導はプロと個人の間の情報較差を助長することになります。そもそも12時間ルールはインサイダー・トレーディングを規制するものではあっても、一旦公式発表された情報の拡散・伝播を妨げるものではない筈で、法の趣旨にも時代の要請にも逆行するものだと思います。当社では重要な会社情報はTD−NETでの開示直後、3分以内ほどに記者クラブへのプレス・リリースの投げ込み、当社HP上での開示を全て同じ文言・同じ内容で実施しています。HP上での開示については、上記の12時間ルールについても「ご注意」として明記しています。今回の動きは納得がいきません。何が契機でこういうことになったのか、誰かが横やりを入れたのか、などの疑念が止みません。きちんとした説明を求めていこうと思います。また、そもそも12時間ルール自体が、現代の情勢にもはや適合していないルールだと思われるので、このルール(証券取引法施行令第30条)の改正もしくは運用解釈についても提言をしていきたいと思います。