先週の中国株ですが、上海総合指数と深セン総合指数と創業板指数、香港ハンセン指数は揃って続伸と、引き続き非常に堅調な株価推移となりました。先週の株価が大きく動いたのは5月19日(火)でした。中国国家発展改革委員会(NDRC)が18日(月)に総額2438億元の鉄道建設プロジェクトを承認したことが好感されました。また、中国の内閣にあたる国務院が資本市場改革に関する指針を発表し、金利の自由化や香港と深センの相互株式取引を推進していくと発表したことも追い風となりました。

さらに先週は国務院から別に2つの材料が発表され、週を通して大幅高となっています。まず、19日(火)には「中国製造2025」が発表されました。これは中国製造業に関する10年計画であり、自主開発能力の向上や品質・効率重視に注力することによって、2025年までに製造大国から製造強国への転換を目指すとしたものです。新世代情報技術産業、数値制御(NC)装置とロボット、省エネ・新型エネルギー車、バイオ医薬など10分野を重点産業に指定し、それぞれに目標を定めています。また、22日(金)には地方政府の債務を軽減するために公共サービス分野において民間資本導入を推進する政策を発表しています。

香港株は21日(木)までは中国本土株に比べると弱い株価推移となりました。というのも中国当局がバブルを懸念した信用取引に対する規制を発表するのではないかとの懸念が高まっているためです。中国の信用取引額の時価総額に占める比率は3%以上で、米国の2%程度と比べて高水準であることなどが材料となっています。しかし、週末には中国本土株の上昇に合わせて大きく上昇していますので、今週は中国政府の金融緩和や景気刺激策への期待を材料にした堅調な株価推移が期待できそうです。

中国の経済指標ですが、先週は5月21日(木)に5月のHSBC中国製造業景況感指数(速報値)が49.1と発表されました。市場平均予想の49.4は下回ったものの、4月実績の48.9は上回ったことから特に材料視はされませんでした。今週は5月27日(水)に4月の中国工業セクター企業の利益(前年同月比)が発表される予定です。

コラム執筆:戸松信博