先週の中国株ですが、上海総合指数と香港ハンセン指数は反発、深セン総合指数と創業板指数は続伸と、総じて堅調な株価推移となりました。上海総合指数は5月10日(日)に中国人民銀行(中央銀行)が利下げを発表したことで大きく上昇してスタート。ただ、5月13日(水)に発表された中国の経済指標が予想を下回ったことから週後半に株価は失速しました。4月の中国小売売上高(前年同月比)は+10.0%で、市場平均予想+10.4%と3月実績+10.2%を共に下回り、年初来の中国鉱工業生産も+6.2%で、市場平均予想の+6.3%と1-3月実績の+6.4%を共に下回りました。さらに、4月の人民元の新規融資金額も7079億元と、市場平均予想の9030億元と3月実績の1兆1800億元を共に下回っています。
先週はその他にも大手資産運用会社による株式の大量保有について当局が調査しているとの噂が流れたことや、今週にIPOが集中していることから、需給悪化懸念が台頭したことも株価の足を引っ張りました。ただ、その一方で、中国政府がネット通信の高速化や接続料金の引き下げを2017年末までに行う計画目標を発表したことや、「インターネット+流通」行動計画が発表されたことで、インターネット関連の新興銘柄が上昇しました。また、深センと香港の相互株式取引である「深港通」が早期に実施されるとの観測が浮上したことから、香港と深センに同時上場する銘柄も上昇。この結果、深セン総合指数は週を通して強い推移となっています。
香港株も中国本土株と概ね同じような値動きとなりましたが、前述のネット関連の政策発表で時価総額の大きなチャイナモバイル(00941)やテンセント(00700)などの関連銘柄が上昇したことや、「深港通」の早期実施観測から週末に大きく上昇しています。その他、李克強首相が追加景気刺激策の実施を示唆したことも買い材料となりました。今週は5月21日(木)に5月のHSBC中国製造業景況感指数(速報値)が発表される予定です。
コラム執筆:戸松信博