先週の中国株ですが、上海総合指数と香港ハンセン指数は反落、深セン総合指数と創業板指数は続伸となりました。先々週は中国証券監督管理委員会(CSRC)がウェブサイトで、「理性を持って投資をするように」と注意を喚起したことはあったものの、中国石油(00857)と中国石化(00386)、中国海洋石油(00883)と中国化工(未上場)をそれぞれ合併させて国際的に競争力を持った石油グループの設立を中国政府が検討していると報道されたことや、中国人民銀行(中央銀行)が商業銀行による地方債券の直接買い取りで、中国版の量的金融緩和を検討しているとの報道があったこともあり、株価は堅調でした。
しかし、先週は中国国内の証券会社が信用取引の条件を厳格化したとの報道があり、利食い売りが先行して、上海総合指数は反落となりました。もっとも国営の新華社が5月5日(火)に「現在の調整は緩やかな強気相場に向かう正常な調整」との記事を掲載したほか、中国共産党機関紙の人民日報も7日(木)に「緩やかな上昇相場は続いている」との見方を発表しており、中国政府が緩やかな株価上昇を誘導したい思惑が伝わったことから下落幅は限定的でした。そして前述のように、深セン総合指数と創業板指数は続伸となっています。さらに中国は5月10日(日)に過去半年で3回目となる利下げに踏み切っており(0.25%の利下げ)、今週の上海総合指数は反発が予想されるところです。
一方、香港株も上海総合指数と同じような株価推移となっています。こちらも、中国の利下げと週末に米国株が大幅続伸となったことから、今週は反発が期待できると思います。なお、先週は5月4日(月)に4月のHSBC中国製造業景況感指数(確報値)が48.9と発表され、市場平均予想49.4と3月実績49.2を共に下回りました。また、5月8日(金)には4月の中国の輸出が6.4%減と発表され、3月の15.0%減よりは改善したものの市場平均予想の1.6%増を下回りました。輸入も16.2%減と、3月の12.7%減や市場平均予想の12.2%減を下回っています。しかし、これらの弱い経済指標は株式市場にはあまり影響を与えませんでした。今週は5月13日(水)に4月の中国小売売上高(前年同月比)と中国鉱工業生産がそれぞれ発表されます。
コラム執筆:戸松信博