先週の中国株ですが、上海総合指数と香港ハンセン指数は続伸、深セン総合指数と創業板指数は反発となりました。各指数とも年初来高値更新となっています。中国本土市場は、先々週末に信用取引の規制強化策が発表され、週初こそ利食い売りが先行したものの、週半ばからは力強く反発しています。先週はHSBC中国製造業景況感指数の4月速報値が49.2と発表され、3月実績や市場平均予想の49.6を下回る結果となりました。49.2は1年ぶりの低水準で中国政府が取り組む金融緩和や景気刺激策が製造業の回復につながっていないことが改めて示されました。

このような弱い経済指標が続いているにもかかわらず(更に言えば信用取引の規制強化が発表されているにもかかわらず)、前述のように中国本土の株価指数は年初来高値更新が続いています。この要因はもちろん、弱い経済指標に対して更な金融緩和や景気刺激策が期待されていることですが、国営メディア機関が株価上昇を煽るような報道を続けていることも大きなポイントだと思います。たとえば、中国共産党の機関紙である人民日報は4月21日(火)に上海総合指数の4000ポイントは強気相場の始まりにすぎないとする強気の見解を示しています。中国株の大きなポイントは中国政府の意向ですが、中国政府は景気回復のために、株価上昇を期待している様子です。したがって、当面、中国本土株は強い推移が続くことが期待されます。

一方の香港市場ですが、香港ハンセン指数は続伸となったものの、香港上場の中国企業の株価指数である香港H株指数は反落となっています。これはハンセン指数の構成比率トップ銘柄であるHSBC(00005)が4月24日(金)の引け間際に急伸したことが関係しています。もっとも、香港H株指数は先々週まで急騰を続けてきたので、利食い売りが入りやすい状況でした。しかし、中国本土株が大きく上昇を続けていることから、今週以降、引き続き中国本土マネー流入による上昇が期待されるところです。今週は5月1日(金)に4月の中国公式製造業景況感指数と4月の中国公式非製造業景況感指数が発表されます。HSBCの景況感指数に引き続き、悪化が続くのかが注目されるところです。

コラム執筆:戸松信博