タンポポ、tannpopo、蒲公英。これらは勿論全て「たんぽぽ」ですが、どこか不思議な語感のある言葉です。てっきり外来語かと思いましたが、拓本を取る時にポンポンと押さえるのに使う、綿を布に包んだもの、「たんぽ」、に穂をつけた「たんぽ穂」が語源のようです。花が咲いた後のネギ坊主のような穂がたんぽのように見えたのでしょう。たんぽぽが歌われている和歌もあるにはあるようです。「和歌三神」という落語の中に、西行法師が歌ったものとして「音に聞く鼓ヶ滝を打ち見れば川辺に咲きしたんぽぽの花」という歌が出てきます。朝は踏み潰されたような汚い草が、昼には綺麗な黄色い花を咲かせる。そしてまた夜には単なる草に戻る。そんなことを繰り返すたんぽぽは、やはりどこか不思議です。花の感じも、日本たんぽぽでも、どこか日本離れした雰囲気があります。和歌に殆ど詠まれていないのも、そんな理由からでしょうか。