今日は4月4日。4に因んで4%という、今時お目に掛かれない超高利回り預金の話をしましょう。誰がそんなに高い金利の預金を提供しているかというと、これがなんと東京都の納税者です。そしてその預金をしているのは、どういう訳か通常は預金を提供している側である筈の銀行です。
カラクリはこういうことです。都が一旦銀行から徴収した外形標準課税(銀行税)については、東京地裁で都が敗訴したことは以前につぶやきにも書きました。その額725億円。都は供託金を置かない方針なので、銀行は仮執行を請求することによりこの725億円を手にすることが出来ます。しかし敢えて銀行は仮執行を申請せず、ダンマリを決め込んでいます。いずれ上級審で最終判決が確定して銀行が勝訴すれば、今からそれまでの期間、都は加算金として年率約4%を追加して払わなければいけないそうです。支払いの源は、勿論都税です。つまり都の納税者が、銀行に対して4%の預金金利を払うようなものなのです。メンツとか、いろいろあるのでしょうが、ここはひとまず上級審の結果が出るまでは徴収した税金を返還した方が都民の経済的にはいい筈です。取りっぱぐれる心配などは言うに及びません。何故なら都は銀行に1兆円以上の預金をしているので、取りっぱぐれのリスクはそもそもそんな金額ではないからです。
- 松本 大
- マネックスグループ株式会社 取締役会議長 兼 代表執行役会長、マネックス証券 ファウンダー
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ソロモン・ブラザーズ・アジア証券会社を経て、ゴールドマン・サックス証券会社に勤務。1994年、30歳で当時同社最年少ゼネラル・パートナー(共同経営者)に就任。1999年、ソニー株式会社との共同出資で株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)を設立。2004年にはマネックス・ビーンズ・ホールディングス株式会社(現マネックスグループ株式会社)を設立し、以来2023年6月までCEOを務め、現在代表執行役会長。株式会社東京証券取引所の社外取締役を2008年から2013年まで務めたほか、数社の上場企業の社外取締役を歴任。現在、米マスターカードの社外取締役、Human Rights Watchの国際理事会副会長、国際文化会館の評議員も務める。