足元、企業の人工知能(AI)関連投資に関する採算性を巡る懸念が広がっているほか、サイバー攻撃による脅威や中東情勢の緊迫化も相まって投資家心理が悪化しています。実際、投資家心理を映すとされるVIX指数(恐怖指数)は22日に一時20.3と、株式市場における警戒感が高まった状態とされる20を上回りました。目先では10月27、28日に米連邦公開市場委員会(FOMC)が予定されているうえ、10月28日にはアルファベット[GOOGL]やマイクロソフト[MSFT]、10月29日にアマゾン・ドットコム[AMZN]の最新決算発表も控えており、目先の投資家心理は慎重化しやすい局面と考えられます。こうした不安定な環境下では、インカム収益が期待される相対的に配当利回りの高い銘柄に着目するのも一案かと思います。そこで今回は、増配を続けた実績を有し、予想配当利回りが高いものの、減配リスクが比較的低いと考えられる銘柄を以下の条件に基づきピックアップしました。
<抽出基準>
・S&P500種株価指数に含まれる銘柄
(除く銀行、保険、不動産、投資銀行・証券会社、消費者金融、資産運用・資産管理)
・過去10会計年において連続して増配
・予想配当利回り(12ヶ月先)が各銘柄の属する産業グループ内で上位30%以内
・直近会計年における配当性向が0%超70%以内
・直近株価の52週高値からの乖離率が20%以内
リストをみると、食品ディストリビューター大手のシスコ[SYY]が基準を満たしています。冷凍食品や缶詰・ドライフード、生鮮食品などを外食やレストラン産業に提供しています。直近ではロサンゼルス地域において倉庫作業員や配送パートナー、それぞれを代表する組合によるストライキに直面していたものの、10月15日にストライキの終了で合意しました。同社は9月にAIの活用を通じたコスト削減策を明らかにし、2027年度の1株あたり利益(EPS)成長率について9-11%との見通しを維持しています。他方、工業製品・機器を手掛けるイリノイ・ツール・ワークス[ITW]もリスト入りしました。同社は自動車用部品や業務用調理機器、試験・計測・電子機器などを供給しています。8月には事業の強さと長期的な成長への継続的な自信を背景に、60億ドルの自社株買い枠を承認するとともに7%の配当引き上げを決定しました。
また、鉄道会社を傘下に擁するユニオン・パシフィック[UNP]もリストに名を連ねています。鉄道網の営業距離は5万km超に及び、農産物や自動車、化学品などを輸送しています。10月22日に発表された2026年第3四半期決算では売上高、EPSともに市場予想を上回りました。同社は、直近の業績について、輸送量の増加や価格面での強さ、業務遂行力によってけん引された、としています。
茲許では複数の悪材料が顕在化し、先行きに対する懸念が高まっていますが、配当に着目されることで有望銘柄に出会える可能性があるかと思いますので、銘柄選びのご参考にしていただければと思います。
