YouTubeチャンネル「聞いてわかる投資本チャンネル」を運営しているタザキさん。たくさんの投資本を読んで紹介しているタザキさんが実践している投資スタイルや成功談・失敗談などについて、お伺いしました。
●タザキさんプロフィール●
投資家YouTuber。投資本の要約を発信するYouTubeチャンネル「聞いてわかる投資本要約チャンネル」は月間200万回再生以上。大学時代に投資のゼミに出合い、卒業後も余剰資金で投資を続ける。国立大学卒業後、IT企業に勤務。自らの努力だけで会社からの給料を上げることに限界を感じ、投資こそが日本で豊かになるための最短の方法だと考える。本好きが高じて自分の学びをYouTubeで発信したところ、想像以上の反響を呼び、3年間でチャンネル登録者が10万人を超える。現在は、YouTubeやVoicyで投資初心者から中級者までをターゲットに投資情報の発信が本業。2人の子を持つ父。
著書に『お金の名著200冊を読破してわかった!投資の正解』(クロスメディア・パブリッシング)がある。
学生時代から相場に触れて、肌感覚と数字が一致する体験をする
――現在のワークライフバランスについてお教えください。
「聞いてわかる投資本チャンネル」というYouTubeチャンネルを運営しており、登録者は約25万人。投資に関する本を1冊ずつ取り上げ、黒板風のスライドで内容を解説する動画を出しています。現在は独立していて、発信が本業になっています。企画、リサーチ、原稿執筆、スライド作成、編集、サムネイル制作まですべて1人でやっています。子どもは未就学児と小学校低学年の2人です。
働き方としては、地方在住かつ1人で完結する仕事なので、通勤も会議もありません。子どもの送り迎えや行事に合わせて時間を動かせるのは大きな利点です。一方で、本を読む時間がそのまま仕事の時間になったので、「読書=趣味」だった頃とは本との向き合い方が変わりました。面白いから読む、ではなく、視聴者に何が届くかも考えながら読むようになっています。
――最初に投資を始めたきっかけは?どのような銘柄にどのくらい投資するようなスタイルでしたか?
始めたのは学生時代のゼミがきっかけで、10年以上前のことになります。当時の詳しい記録は残っていないのですが、はっきり覚えているのは、当時日本に上場していたスターバックスの株です。株価が2倍になりました。ゼミでは、みんなでバイト代を持ち寄り、先生の口座で数銘柄を選び買う、という形です。スタバ株は、業績を見て伸びていることを確認したうえで、大学生として実際に店舗に足を運んでいたからです。人が入っている、居心地がいい、値上げしても客が減らない——そういう肌感覚と数字が一致していた。実体験ベースの選択が功を奏した例でした。
また、成功だけではなく、東京五輪に向けて、建設セクターの銘柄をいくつか買ったものの、あまり上がりも下がりもせず。すでに周知となっている事実から優位性を得るのは難しいことも経験しました。ただ、実際に買ったわけではなくとも、その当時は周りの学生の多くが夢中になっていたガンホー・オンライン・エンターテイメント(3765)が任天堂の時価総額を上回ったりした後、そこからの株価転落もよく覚えており、驚いたのを覚えていますね。
先日キオクシア(285A)のスピード上昇でトヨタ自動車(7203)の時価総額を抜いた時に、過去のガンホーの出来事を思い出したりと、若いうちから少しでも相場に触れていたことが、金額の上下よりも財産になったと思います。大学生のとき、勉強していたのは、「新・企業価値評価」伊藤邦雄(著)です。ゼミで使われていた本ですが、市場の歴史から、理論まで、骨太なものを若い頃に読んでいたことで、完全に理解できていたとは思いませんが、難解な金融系の本でも読み解こうという耐性がついたと思います。
――就職後、学生時代からの投資スタイルに変化はありましたか?
就職後は、一度、株からFXに軸足を移していた時期が数年ありました。しかし、増えたり減ったりで、結局は数年かけて、元本を少し減らしていたと思います。今思うと、社会人になりたての20代前半の数年は、本当にお金と時間を無駄にしたと思いますね。
当時参考になるYouTubeはありませんでした。今思えば水瀬ケンイチさんとか...有益なブログはたくさんあったと思うのですが、そのような有益な情報には辿り着けていませんでしたね。
転機となったのは、旧「つみたてNISA(2018年開始)」と、『敗者のゲーム』『ウォール街のランダム・ウォーカー』『投資の大原則』などの名著を読んだことです。そして2018年からインデックス積立投資が軸になりました。この時は、「これだ!」と思いましたね。
そこから、全世界株式のインデックスファンドをコアに据え、個別株はサテライトとして持つ、という現在の形に近づいていきます。
コロナショックで暴落を経験後、投資本の言葉の響き方が変わる
――これまでの投資ヒストリーの中での成功談と失敗談を教えてください。ターニングポイントになったできごとや書籍はありますか?また、その後の投資手法への影響やマインドの変化などもお教えください。
最も成功したのはインデックス投資です。2018年から続けているので、当時投資していた全米株式に投資をするインデックスファンドは+300%超、全世界株式型のインデックスファンドは+200%超です。
印象に残っている失敗としては、2020年のコロナショックのときに、コマツ(6301)をパニック売りしてしまったことです。
当時、コマツは2,000円台で購入しており、もともとは長期保有するつもりでした。ところが、2020年3月頃、コロナショックによって株式市場全体が急落する中で、建設機械メーカーであるコマツも大きく売られました。
当時は、「世界経済がここまで落ち込むのであれば、建設関連の需要もかなり厳しくなるのではないか」と考えてしまい、底値に近いタイミングで売却してしまいました。今振り返ると、これが自分にとって初めて経験する本格的な暴落でした。
もちろん、その頃から長期投資については勉強していましたし、「株式市場は長期的には成長していく」「暴落時こそ慌てて売らないことが重要」といったことも、本で読んで頭では理解していました。それでも、実際に自分のお金が大きく減っていく状況を目の当たりにすると、気持ちが負けてしまったんですね。ここは、非常に大きな学びでした。
本を読んで知識を得ることと、その知識を実際の相場で実践できることは、全く別なのだと実感しました。そして、その後、投資本を読み返したときに、以前とは言葉の響き方が全く違うことにも気付きました。
例えば、「暴落時に感情で売買してはいけない」「長期投資では市場に居続けることが重要」といった言葉も、失敗する前は単なる知識として読んでいたものが、一度実際に暴落を経験すると、自分自身の体験と結びついて、非常にリアルな言葉として入ってくるようになりました。
そういう意味では、コマツの損切りは金銭的には小さな失敗でしたが、その後の投資を考えるうえでは非常に大きな転機になりました。また当時はコマツのシクリカル性なども理解していなかったので、単純に知識不足であったこともあります。個別株を長期で買う際には、果たしてあのコロナショックほどの危機でも冷静でいられるか?と考えることも、判断材料として自分の中に残ったと思います。
――これだけは守ろうと決めている投資におけるルールはありますか?
この1年くらいで特に感じたことですが、「一発逆転を狙わない」ことですね。ネットを見ていると、いかに短期で一発逆転を狙いたい人が多いかを感じます。
キオクシアが上がりっぱなしだった頃がまさにそうです。少し揺らぎそうになりましたが、耐えました。日経平均が上がるのに、自分の日本株ポートフォリオはそれに負けている、という期間が続いていました。しかし、自分がそれまでに読んで、いいなと思った著者たちも、同じように、指数に負けているという状況も目にしていたので、自分は「短期で波乗りするタイプではない」ということを肝に銘じました。
長期投資では、複利の力を活かすために市場に居続けることが重要です。逆に少しでも逆回転すれば、退場です。そのため、一つの投資判断で資産の大部分を失うようなリスクは取らないようにしています。
――反対に、「これだけはしない」と決めていることはありますか?
レバレッジは基本かけませんね。といっても、先物・オプションは少し取引することもありますが、あくまで期限付きのものだけです。レバレッジ投資信託やレバレッジETFなど、長期保有のものにレバレッジをかけることはしていません。
――最新の資産のポートフォリオについてお聞かせください。
2026年8月時点の資産配分としては、現在このような形です。
株式89%、債券・現金4%、REIT1%、オルタナティブ6%です。
株式部分は、全世界株式のインデックスファンドをコアに据え、個別株をサテライトとして持つコア・サテライト戦略です。個別株は、自分が事業内容を理解できる範囲に絞っています。ちょっと株式が多いなと感じていますが、収入もあること、自分の年代を考えれば、まあ許容できるかなと思っています。
通貨別だと円建て33%、外貨建て60%、通貨非依存6%となります。
どうしても全世界株式に投資をしているインデックスファンドがポートフォリオの大部分を占めると円建て比率が小さくなってしまいます。そのバランスをとるという意味で、日本の個別株を保有しているので、比率が想像よりもと大きいかもしれません。半年前まで円建て資産が38%あったのですが、半年ぶりに整理したところ5%も減っていたことを確認できたので、少し調整を入れる予定です。なお、ポートフォリオは、毎年2月と8月に確認しています。
>>>後編では「玉石混交の投資情報に振り回されないために必要なこと/こどもNISAの活用予定について」についてお届けします(近日公開予定)。
企画・編集/マネクリ編集部(藤村恭子、西條玄香)
※本内容は2026年8月に行ったアンケート取材を編集し掲載しました。
※本内容は、個人の経験に基づく見解であり、当社の意見を表明するものではありません。
※投資にかかる最終決定は、お客様ご自身の判断と責任でなさるようにお願いいたします。
