モトリーフール米国本社 – 2026年8月23日 投稿記事より
半導体大手のブロードコム[AVGO]とマーベル・テクノロジー[MRVL](以下、マーベル)は、よく似た企業です。両社は共に、データセンター向けのネットワーキング(接続)機器を製造しています。また、少数の重要な顧客向けに設計したカスタム人工知能(AI)半導体事業も展開しています。カスタムAI半導体は従来のグラフィック処理装置(GPU)を使った学習よりも優れたコストパフォーマンスを提供できるため、今後注目度が高まる公算が大きくなっています。
カスタムAI半導体が普及するにつれ、両銘柄は恩恵を受ける立場にあります。では、どちらがより恩恵を享受できるのでしょうか。筆者はこの議論の決着をつける1つの指標があると考えています。
カスタムAI半導体とは
これまで、AIの学習と推論のほとんどは、半導体大手エヌビディア[NVDA]製GPUが使われてきました。GPUは驚異的な計算能力を持ち、非常に幅広い種類のワークロードに対応します。エヌビディアが設計したGPUの柔軟性は驚くべきものです。一方、GPUが稼働中に処理するワークロードの種類が1つしかないとすれば、柔軟性は必要ありません。
GPUは依然としてコンピューティングに不可欠であり、GPUが使われる理由はいくつもあります。しかし特定の領域では、カスタムAI半導体の方がより高い性能を発揮する可能性があります。
カスタムAI半導体は、ASIC(アプリケーション特化型集積回路)として知られています。ASIC自体は特に目新しいものではありませんが、AIへの応用は比較的新しい分野です。汎用半導体とは異なり、特定のワークロードを中心に計算用半導体を設計することで、設計者はASICを最適化し、効率性を高めつつコストを下げることができます。これによってコストを抑えながら計算能力を高められ、多くの場合、GPUを上回ります。
カスタムAI半導体の顧客は主に、アルファベット[GOOGL]やアマゾン・ドットコム[AMZN](以下、アマゾン)のようなAIハイパースケーラー(巨大クラウド運営企業)か、オープンAIやアンソロピックのように、AIワークロードを処理するための膨大な計算能力を内部で構築しているAI開発企業です。これらの企業はカスタムAI半導体を内部利用するか顧客向けに貸し出しており、今後数年間でカスタム半導体の購入を大幅に増やすと予想されています。
これらの企業はいずれも、計算装置の設計や製造に関する専門知識を十分に持っていません。そのため、こうしたプロセスを支援するパートナーとして、ブロードコムとマーベルが注目されています。ブロードコムのカスタムAI半導体事業はマーベルよりも大きく、アルファベット、メタ・プラットフォームズ[META]、オープンAI、アンソロピックを顧客としています。一方、マーベルはアマゾンとマイクロソフト[MSFT]を顧客に抱えています。
これらの著名企業の他にも、両社のサービスを利用する企業はまだあります。では、ブロードコムとマーベルの2社のうち、どちらに注目するのがよいのでしょうか。
ブロードコムは大幅に割安
今後数年間、カスタムAI半導体市場は大きな成長が予想されています。そのため、来期の予想利益を基に両社のバリュエーションを比較するのが賢明と考えます。この観点では、本稿執筆時点のブロードコムのPERは、マーベルの半分程度にとどまっています。
そうであれば、明らかにブロードコムの方が割安です。さらに同社には好材料がもう1つあります。それはブロードコムの方が、成長スピードが速いと予想されていることです。コンセンサス予想では、ブロードコムの2027年度(11月開始)の売上成長率は64%です。一方、マーベルの来期の成長率は45%と予想されています。
ブロードコムはより多くの顧客を抱え、急速に成長しており、株価も割安に評価されています。ブロードコムとマーベルの比較において、大きな議論の余地はなさそうです。マーベルへの投資もうまくいく可能性はありますが、ブロードコムの方がより理に適っていると考えられます。特に、カスタムAI半導体に対する注目度が高まっていることから、ブロードコムは格好の割安銘柄と思われます。
また、カスタムAI半導体については、2027年以降も注目度が高まる可能性が非常に高いとみられます。特に、GPUよりも高いコスト効率が確認されているためです。アマゾンのカスタムAI半導体TrainiumはGPUベースの学習と比べて、比較対象となるGPUの世代によって異なるものの、約30~40%高いコスト効率を実現しています。このような効率性の向上は、AIインフラ構築が成熟するにつれて需要が高まるとみられ、マーベルとブロードコムにとって複数年にわたる大きな成長余地をもたらすでしょう。
免責事項と開示事項 記事は一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資家に対する投資アドバイスではありません。元記事の筆者Keithen Druryはアルファベット、アマゾン・ドットコム、ブロードコム、メタ・プラットフォームズ、マイクロソフト、エヌビディアの株式を保有しています。モトリーフール米国本社は、アルファベット、アマゾン・ドットコム、ブロードコム、マーベル・テクノロジー、メタ・プラットフォームズ、マイクロソフト、エヌビディアの株式を保有し、推奨しています。モトリーフール米国本社は、情報開示方針を定めています。
