「昔の夏はここまで暑くなかったよね。」そんな会話が多くなる8月。私自身も、子どもの頃を振り返ると、確実に暑くなったと感じます。

私が通っていた大阪府寝屋川市立の中学校は、もともとは小学校が建つ予定だった場所につくられたそうです。そのためグラウンドは狭く、野球部もなければ体育館もバスケットコート一面分しかなく、バスケットボール部だった私たちは、いつも屋外で練習していました。夏休みも毎日学校に通い、真っ黒に日焼けしながら練習する日々。一度だけ倒れたこともあります。それでも翌日にはまた練習に向かう。それが当たり前の時代でした。今の、危険とも言うべき暑さを考えると、同じ練習はきっと難しいでしょう。

私は登山が趣味ですが、「山の上は涼しいのでしょう?」とよく聞かれます。実際は、夏の日中は山の上だからといって涼しいわけではありません。森林限界を超えると照り返しも強烈で、そんな中の上りは汗だくです。それでも、稜線を吹き抜ける風に包まれると、一瞬で疲れが和らぎます。また、朝晩は空気が一変し、凛とした冷たさに包まれます。あの風と朝晩のキリっとした空気は、山でしか味わえないご褒美です。

先日の南アルプス縦走では予定より早く山小屋に着きました。10人が定員の小屋へ一番乗りで、小屋番さんとゆっくり話をする機会がありました。一人で小屋を切り盛りするその方は、山のこと、天気のこと、昔の登山のことなど、次から次へと話を聞かせてくれました。

「2030年にはプチ氷河期が来るらしいよ。太陽黒点の活動が原因なんだって」。山で自然を見続けてきた人の言葉だけに、不思議な説得力がありました。「この暑さなのに?」と思わず笑ってしまいましたが、後で調べてみると、太陽活動が弱まるという研究は実際にある一方で、それだけで「氷河期になる」とは言えないというのが現在の主流の見方のようです。

私たちは、自分の経験を「当たり前」だと思いがちです。でも、その当たり前は、時代や場所が変われば簡単に覆ります。経験は何よりの財産です。しかし、経験は未来を予測する「答え」ではなく、考えるための「材料」です。新しい情報にも、過去の成功体験にも偏らず、一度立ち止まって確かめ、自分の頭で考え続ける。その姿勢は、仕事でも投資でも、そして人生でも、変化の時代を生き抜く力になるのだと思います。