スペースX[SPCX]、7月7日にナスダック100採用
2026年5月1日より新ルール適用
ナスダック100はナスダック市場に上場している銘柄のうち、金融セクターを除く時価総額上位100社で構成される株価指数です。米国経済の成長を象徴するITやバイオテクノロジー、消費財などのリーディングカンパニーが名を連ね、重要なベンチマークとして注目されています。
構成銘柄に採用されるには、時価総額や一定以上の出来高、そして金融業ではないことなどが前提条件となります。これまでは原則として毎年12月に構成銘柄の定期入れ替えが行われていましたが、2026年5月1日より新ルールが適用されました。
新ルールでは、3月、6月、9月、12月の四半期ごとのレビューで銘柄の機動的な入れ替えが可能になりました。さらに大きな変更として注目されるのは、大型の新規上場銘柄を速やかに組み入れる「ファストエントリー(早期採用)」制度の導入です。
ファストエントリー制度では、時価総額で上位40位以内に入る場合には最短で上場後15営業日で構成銘柄に組み入れることができるようになりました。さらに浮動株比率の条件も廃止され、大株主の出資比率が高い銘柄でも指数採用が可能になります。
制度改革の背景に、スペースX[SPCX]の存在か
制度改革の裏にはスペースX[SPCX]の存在があるとの見方が濃厚です。ニューヨーク証券取引所との誘致競争に勝ち抜くため、ナスダックが大型IPO銘柄を優遇したとみられています。
6月12日にナスダックに上場したスペースXは上場から15営業日が経過しており、7月7日の取引開始前にナスダック100の構成銘柄に組み入れられます。スペースXに続いて、オープンAIやアンソロピックという超大型IPOが控えており、ナスダックは先を見据えて制度改革に乗り出したと言えそうです。
AIインフラ・宇宙ビジネス関連銘柄が新規採用
新ルール下で初となる四半期ごとの定期入れ替えは、スペースXの採用の前、2026年6月22日に実施され、新たに5銘柄が指数に加わりました。今回の入れ替えは人工知能(AI)ブームを足元で支えるAIインフラと宇宙ビジネスの存在感が大きく、現在のトレンドを映し出す顔ぶれとなっています。
アステラ・ラボ[ALAB]、AIインフラ需要拡大で急成長
アステラ・ラボ[ALAB]は、AIやクラウド向けのデータセンターに不可欠な接続性(コネクティビティ)ソリューションを提供する半導体企業です。AIの急速な普及に伴い、データセンター内ではGPU(画像処理装置)やCPU(中央演算処理装置)、メモリー間で大量のデータを高速で処理・伝送する必要性が生じています。しかし、従来の技術やインターフェースでは信号の減衰や遅延、帯域幅の不足が深刻なボトルネックとなっていました。
同社の最大の強みは、次世代の高速インターフェース規格に対応した半導体チップやモジュール、ソフトウエアを一貫して提供している点です。データ伝送効率を劇的に向上させ、最先端のAIワークロードを安定して稼働させる基盤を築いているのです。
業績はAIインフラ需要拡大の恩恵で、右肩上がりの推移が続いています。2026年1-3月期決算は売上高が前年同期比で93%増の3億800万ドル、純利益が2.5倍の8000万ドルに急増しました。主要クラウド事業者(ハイパースケーラー)からの大口受注が続いており、AIデータセンター向け接続製品のデファクトスタンダードとして、今後も市場をけん引すると期待されています。
コアウィーブ[CRWV]、エヌビディアからGPUを優先調達
コアウィーブ[CRWV]はAIの開発に必要な計算資源をテック大手に提供しています。自社で運営する大規模なデータセンターを通じ、AI開発や大規模言語モデル(LLM)のトレーニングに特化したクラウドサービスプラットフォームを展開しています。
強みはエヌビディア[NVDA]との強固な提携関係です。エヌビディアから最先端のGPUを優先的に割り当てられる数少ないパートナーで、他社に先駆けて圧倒的な計算資源を確保することができます。
柔軟でスピーディーなリソースの提供を武器に競争優位性を確保しています。大規模なデータセンターのリソースを自社で保有するハイパースケーラーと呼ばれるテック大手は、計算資源の不足を補うため、あるいは巨額投資のリスクを軽減するためにコアウィーブのサービスを利用します。
旺盛な需要を背景にした急成長は続き、2026年1-3月期の売上高は前年同期の2.1倍に当たる20億7800万ドルです。今後はどのように黒字転換を目指すのかが焦点と言えそうです。
ネビウス・グループ[NBIS]、AI開発環境を一括提供
ネビウス・グループ[NBIS]は、オランダのアムステルダムに本社を置くAI特化型のクラウドインフラプロバイダーです。巨大データセンターの運用を通じたAIインフラからAIモデル(大規模言語モデルなど)を効率よくトレーニングするためのソフトウエア、AIエージェントの開発に必要なツールまでを包括的に提供しています。
AI開発に必要なインフラからソフトウエアに至るまでフルスタックで準備できる点が強みです。顧客は大企業、ソフトウエアベンダー、AIネイティブ企業、研究機関など多岐にわたり、用途もモデル開発から運用まで幅広いという特徴があります。
ただ、最近のAIブームを受け、コアウィーブのようにデータセンターを迅速に建設し、AIインフラを重点的に提供するビジネスの重みが増しています。ネビウス・グループもコアウィーブと同様にエヌビディアとの良好な関係を通じ、GPUを優先的に調達できる強みがあります。
巨額投資を通じてAIの開発を急ぐ米国のテック大手にとって、こうしたインフラの確保は重要な課題です。ネビウス・グループはメタ・プラットフォームズ[META]やマイクロソフト[MSFT]と計算資源を提供する大型契約を結び、データセンターの建設を進めています。
テラダイン[TER]、半導体複雑化で検査装置の需要急増
テラダイン[TER]は自動検査装置(ATE)の世界的な大手です。半導体、ワイヤレス機器、ストレージ、光半導体など幅広い製品のATEを提供し、AI、データセンター、通信、自動車、産業機器、航空宇宙といった産業を支えています。
主力は半導体のATEです。半導体は微細化や3D積層により構造が複雑化しています。ATEを通じて最先端半導体の不良品を正確に見極め、メーカーの歩留まり(良品率)向上と製造コスト削減につなげます。
SoC(システム・オン・チップ)デバイスの検査装置や関連のソフトウエアを中心に、DRAMやフラッシュメモリーなどの検査装置も開発しています。製品検査事業では、回路基板や高性能電子部品、フォトニクス部品などの検査装置を提供しています。
テラダインはロボット事業も手掛けています。2015年に産業用のロボットアームの開発・製造を手掛けるユニバーサル・ロボットを買収し、この分野に参入しました。さらに2018年にAMR(自律走行搬送ロボット)を開発するモバイル・インダストリアル・ロボッツ(MiR)、2019年に同業のオートガイド・モバイル・ロボッツを立て続けに買収し、2022年に両社を統合しています。
ロボット事業は着実に成長し、2023年12月期には売上比率が14%に達しました。ただ、昨今の半導体需要の急増を背景に半導体のATEが伸びたことで、ロボット事業の売上比率は2025年12月期に10%を割り込んでいます。
当面は半導体のATEへの需要が続くと見込まれています。エヌビディアやアドバンスト・マイクロ・デバイシズ[AMD]といった半導体大手が投入する新型チップは、テスト工程の難易度が極めて高いため、テラダインの高性能テスト機器への引き合いが強まっているようです。
ロケット・ラボ[RKLB]、再利用前提の中型ロケットを開発
ロケット・ラボ[RKLB]は人工衛星の打ち上げサービスや宇宙船の関連部品の製造などを手掛ける企業です。主力は小型衛星専用の打ち上げロケット「エレクトロン」で、豊富な実績を持ちます。また、衛星の設計から部品の製造、軌道上での運用までを包括的に提供する宇宙システム部門を新たな柱に位置づけ、成長を目指しています。
打ち上げサービスで最も力を注いでいるのが、次世代中型ロケット「ニュートロン」の開発です。第1弾のブースターなどの再利用を前提にした設計で、スペースXの「ファルコン9」と競合するとみられています。
ニュートロンは2026年10-12月期に初めて打ち上げられる予定です。成功すればスペースXが独占する中型ロケット市場にくさびを打ち込む見通しです。
